ベランダの室外機の裏や植木鉢のかげに、白い卵が2つ。「ヒナが生まれて巣立つ前に、卵のうちに何とかしたい」と考える方は少なくありません。しかし、鳩の卵は、巣に入っている間は勝手に取り除いたり、処分したりすることができません。ドバトも野生の鳥で、鳥獣保護管理法によって、卵やヒナも保護の対象になっているためです。この記事では、鳩の卵の駆除に関する国のルールと繁殖の数字、卵が見つかったときの最初の対応、合法的な駆除の方法、許可の申請先と条件、自分で対応する場合の流れ、業者に頼むべきタイミングまでをまとめて解説します。
- 巣の中の卵やヒナは、許可なく取り除いたり捨てたりできない。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象
- 産卵から巣立ちまでは約50日。基本は、ヒナが巣立って巣が空になってから撤去する
- 待てない場合は、有害鳥獣捕獲の許可を得るか、許可を持つ駆除業者に依頼する。自治体によっては十分な対策の実績や被害の事実が必要
- 巣が空になったあとは、撤去と清掃に加えて防鳥ネットなどの再発防止まで行う
鳩の卵は勝手に駆除できない?

鳩の卵の駆除を考えるとき、最初に押さえたいのが国のルールと、鳩の繁殖の数字です。「いつまで待てばいいのか」「なぜ何度も巣を作られるのか」が、数字を見るとわかります。
国のルール:卵の採取・処分も原則として禁止
野生の鳥獣は、鳥獣保護管理法で保護されており、鳥類の卵も例外ではありません。国の資料では、狩猟で捕獲する場合を除いて、鳥獣や鳥類の卵の捕獲・殺傷・採取が禁止されていることが示されています。
鳥獣又は鳥類の卵については、その捕獲、殺傷又は採取が禁止されています
環境省「捕獲許可制度の概要」
例外として許可が得られるのは、学術研究、生活環境・農林水産業・生態系に関わる被害の防止、傷病鳥獣の保護などの目的で、適正な方法により行う場合です。巣の卵を取り除く場合は、このうち生活環境の被害の防止にあたり、鳥類の卵の採取等の許可申請書を出して、許可を受けることになります。許可を出すのは原則として都道府県知事で、多くの都道府県では市町村長に権限の一部が移されています。
そして、許可なく捕獲・殺傷・飼育をすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。「迷惑な鳩だから」「卵のうちなら大丈夫」と自己判断で処分することは避けましょう。
繁殖の数字:卵は年3回以上、1回2個。産卵から巣立ちまで約50日
ドバトは、通年繁殖し(4〜5月が多い)、年3回以上繁殖、1回に2個の卵を産むと、国立環境研究所のデータベースに示されています。ハト類の繁殖期は4〜10月で、暖かい地方では1年中繁殖すること、ビルや橋、マンションのベランダなど、雨のかからない場所に巣を作ることも、農林水産省の資料で説明されています。
- 繁殖回数:年5〜6回(栄養状態がよいと7〜8回)、年3〜5回など、資料により幅がある
- 卵がかえるまで:約16〜18日
- ヒナが巣立つまで:約30日〜1か月半(産卵から巣立ちまでは約50日とする資料もある)
- 産卵数:1回に2個(通常)
- 相談が増える時期:巣に関する相談は4〜8月に多い
これらの数字を合わせると、卵を産んでから巣立つまで、およそ1か月半〜2か月近くかかることがわかります。巣立ちを待つ場合は、この期間は巣がそのまま残ることを見込んでおきましょう。また、鳩は年に何度も繁殖して、古い巣を再利用することがあるため、巣立ったあとに巣材を残すと、また同じ場所で産卵されやすくなります。
鳩の卵を見つけたら、まず何をすればいい?
鳩の卵を見つけたら、まず「触らない」「落とさない」「捨てない」ことが大切です。巣に卵やヒナがいるときは、鳥獣保護管理法により、取り除くことが禁止されています。
ドバトといえども巣に卵やヒナがいるときは、鳥獣保護管理法により、卵やヒナを取り除くことは禁止されています。
埼玉県「野生鳥獣の管理(野生鳥獣に関するお困りごと)」
そのうえで、巣の場所、卵の数、親鳥がいつ巣にいるかを、離れた場所から写真に残しておきましょう。巣に近づきすぎると親鳥が巣を離れてしまうことがあるため、観察は遠目から行います(編集部の目安)。賃貸やマンションの場合は、管理会社や管理組合への連絡も早めに行っておくと安心です。
なお、ヒナが地面に落ちていても、親鳥が探していることが多いため、拾わずに様子を見るのが基本です。市の担当窓口に連絡すれば、状況に応じた対応を教えてもらえることがあります。
編集部卵のある巣は、「今すぐ取りたい気持ち」と「法律で取れない現実」のギャップで悩む方が多い場面です。まず落ち着いて、巣立ちを待つのか、許可を得て動くのかを決めていきましょう。実際の対応の様子はこちらです。


こちらは、ヒナが巣立ったあとの室外機まわりで、巣材を撤去し、鳩が入り込まないようにネットを張っている場面です。巣の跡には小枝や羽毛、フンが残っており、これを残すと再び営巣されるきっかけになります。



巣を撤去しても、室外機の裏や配管のすき間が空いたままだと、翌週にはまた小枝を運び込まれることがあります。撤去・清掃・ネット施工をワンセットで行い、鳩が「ここは使えない」と覚える状態をつくるのが、再発を防ぐコツです。
それでは、卵があるかどうかを見分けるサインから確認していきましょう。
巣に卵がある可能性が高いサイン


- 親鳥が一日中ほとんど動かず、巣の上に座り続けている
- 2羽の鳩が交代で巣に入っている
- 小枝を組んだ簡単な巣が、室外機の上や裏、植木鉢のかげなどにある
- 4〜5月ごろなど、繁殖が多い時期に巣作りが始まっている
- 巣の周辺に、フンや羽毛が集まっている
鳩の巣は、小枝を並べただけの簡単なつくりで、一見すると卵があるかどうか判断しにくいことがあります。親鳥が長時間じっと座っている場合は、卵を温めている(抱卵中)可能性が高いと考えられます。巣作りの初期で、卵がまだない段階であれば、取り除いても問題ないとされているため、早めに気づくことが大切です。
卵の有無がわからないときは、巣に近づいて確かめようとせず、市の窓口や業者に写真を見せて相談するのが安全です。巣に近づくと、親鳥が驚いて飛び立ち、フンや羽毛が飛び散ることもあります。
鳩の卵の駆除の方法
| 方法 | 卵・ヒナがいるとき | 許可 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 巣立ちを待って巣を撤去する | 待つ(巣が空になってから撤去) | 不要 | 被害が軽く、1〜2か月待てる |
| 許可を持つ駆除業者に依頼する | 業者が許可のもとで対応 | 業者が許可を持っていることが条件 | 待てない・高所・賃貸・マンション |
| 許可を得て自分で卵・ヒナ・巣を撤去する | 許可を得たうえで撤去 | 必要(申請先は自治体で異なる) | 手続きができ、被害の事実を示せる |
| 作り始め・空の巣を撤去する | 卵・ヒナがいないとき | 不要 | 巣作りの初期、巣立ち後 |
鳩の卵の駆除と聞くと、卵を直接取り除くことを想像しがちですが、実際には「許可を得て行う」か「卵やヒナがいない段階で巣を取り除く」の2つが基本です。どの方法を選ぶかは、「どのくらい待てるか」「被害の程度」「手続きや作業を自分でできるか」で決まります。
巣立ちを待ってから巣を撤去する
もっとも手軽で、法律上の問題もないのが、ヒナが巣立って巣が空になってから撤去する方法です。卵がかえるまで約16〜18日、巣立ちまで約1か月かかるため、卵を見つけてからおよそ1か月半〜2か月待つ計算になります。巣立ちを待てる状況であれば、そのまま見守るのが望ましいとされています。
巣立ち後は、巣材を速やかに撤去しましょう。鳩は古い巣を再利用することがあり、そのままにすると、また産卵されるおそれがあります。
許可を持つ駆除業者に依頼する
待てない事情があるときや、巣が高所にある、賃貸・マンションで自分では動きにくいときは、有害鳥獣捕獲の許可を持つ駆除業者に依頼する方法があります。都内では、都から許可を受けた事業者のリストが公開されており、卵やヒナのある巣は、許可を持つ駆除業者に依頼するよう勧められています。神奈川県内では神奈川県ペストコントロール協会、千葉県内では許可のある民間業者への依頼が選択肢として示されています。
費用は依頼者の負担で、料金や作業時間は業者ごとに異なります。リストに載っていない許可事業者もあるため、複数の業者に見積もりを取って比較しましょう。
許可を得て自分で卵・ヒナ・巣を撤去する
自分で撤去する場合も、卵やヒナのある巣は、許可なく取り除くことはできません。有害鳥獣捕獲の許可を申請して、許可を得てからの作業になります。申請先や条件は自治体によって異なるため、詳しくは次の章で整理します。
作り始め・空の巣のうちに撤去する
巣作りの初期で卵がない場合や、ヒナが巣立ったあとの空の巣は、許可なく撤去できます。巣材は、燃えるごみなどとして処分できる自治体もあります。巣作りが始まったばかりのうちに取り除くことが、最も手間がかからない方法です。



鳩対策の基本は「卵を産ませないこと」です。卵が産まれたあとの駆除は、待つ期間と手続きの手間がかかるため、巣作りの初期の段階で気づいて対応するのがいちばん楽な方法です。
卵がある巣の撤去に必要な許可の申請先と条件
卵やヒナのある巣を撤去するための許可は、自治体や都道府県によって窓口や考え方が少しずつ異なります。主な例を整理すると、次のようになります。
- 【東京】自分で撤去する場合は、東京都への有害鳥獣捕獲許可の申請が必要。許可を持つ業者のリストが東京都環境局で公開されている(掲載を了承した事業者のみ)。待てない場合にドバトとカラスに限り、市が捕獲許可を得たうえで卵やヒナを駆除できる例もある(武蔵野市)
- 【神奈川】動物愛護センターに「鳥獣の捕獲等(鳥類の卵の採取等)許可申請書」と従事者証交付申請書を提出する(川崎市)。自分で対応できない場合は、神奈川県ペストコントロール協会または専門業者に依頼する。市に申請して許可を得る必要があるが、十分な対策の実績や被害の事実がない場合は許可されない例もある(大和市)
- 【千葉】千葉県の許可を得て、卵・ヒナと巣を自分で撤去するか、許可のある民間業者に依頼する(柏市)。許可の窓口は千葉県葛南地域振興事務所(浦安市の例)
ここで見落としたくないのが、許可は「申請すれば必ず出る」ものではないという点です。自治体によっては、十分な対策の実績や被害の事実がない場合は許可されない例(大和市)もあります。許可を申請する前に、防鳥ネットや清掃など、可能な対策を行った記録を残しておくと、手続きがスムーズになります(編集部の知見)。
また、私有地での巣の撤去や駆除は、自治体が行わないことが多く、被害の対応はその場所の所有者や管理者の判断になります。集合住宅の場合は、管理組合や管理会社が窓口になります。手数料や審査にかかる日数は、資料に記載がなかったため、申請前に担当窓口へ確認してください。
卵・巣を自分で対応する場合の流れ
卵やヒナがいる巣は、許可なく取り除けません。作業も高所やベランダの端など、転落の危険がある場所になりがちなので、基本的には許可を持つ専門業者への依頼をおすすめします。以下は、合法的に対応できる範囲の参考情報です。
自力で対応できるのは、卵やヒナがいない巣、つまり巣作りの初期や、ヒナが巣立ったあとの空の巣に限られます。卵やヒナがある場合は、触らずに市の窓口や業者に相談してください。
- 離れた場所から巣を観察し、卵・ヒナがいないことを確認する(いる場合は触らず、窓口か業者に相談する)
- ヒナが巣立ち、巣が空になったのを数日かけて確認する
- 使い捨て手袋・マスクを着用し、巣材とフンを袋に入れてごみとして処分する
- 巣のあった場所とまわりを掃除する(フンが乾いて舞い上がらないよう注意する)
- 防鳥ネットなどで、室外機の裏やベランダの隅に入り込まれないようにする
途中で卵やヒナが見つかった場合や、巣が手の届かない場所にある場合は、そこで作業を止めて業者に相談してください。とくに「卵の有無がわからない」「高所で作業が危ない」といったときは、無理をしないことが大切です。
鳩の卵の駆除の注意点とポイント
卵の駆除では、法律の問題だけでなく、巣立ち後の再発防止、ヒナが落ちていたときの対処、賃貸での連絡先など、つまずきやすいポイントが複数あります。ここでまとめて確認しておきましょう。
卵やヒナを割る・捨てる・落とすのはNG
「卵を割れば早い」「ヒナを袋に入れて処分すれば…」といった行為は、すべて鳥獣保護管理法に反し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。卵やヒナを巣から落としてしまう行為も同様です。迷惑だからといって、捕まえたり卵やヒナを捕ったりしてはいけません。
巣立ち後は、巣材の撤去と再発防止までセットで行う
ハトは帰巣本能があり、同じ場所に巣を作る傾向があるため、撤去後は防鳥ネットなどの設置が勧められています。巣立ったあとに巣材を速やかに撤去し、ネットや器具で営巣できない状態にしておくことで、次の産卵を防げます。ネットは、壁との間にすき間があると効果が薄れるおそれがあるため、すき間なく張ることが大切です。
ヒナが落ちていたときは、拾わずに様子を見る
ヒナが地面に落ちているのを見つけても、親鳥が探していることが多いため、拾わずに様子を見るのが基本です。巣のそばに人がいると親鳥が近寄れなくなることもあるため、いったん離れてから様子を見ましょう。
賃貸・マンションでは、管理会社や管理組合へ連絡する
賃貸やマンションのベランダで巣を見つけたら、専有部分か共用部分かを確認したうえで、管理会社や管理組合、大家さんに連絡しましょう。自治体も、集合住宅の場合は管理組合などの所有者が判断するとしています。自分の判断で業者を呼ぶ前に、費用の負担や許可申請の名義についても確認しておくと、トラブルを防げます(編集部の知見)。
自分での対応が難しい・待てない場合は業者へ


次のような状況では、自分で対応するよりも、許可を持つ専門業者に相談するほうが安全で確実です。
- 巣に卵やヒナがあり、1〜2か月は待てない事情がある
- 卵の有無がわからない、または巣が高所・手の届かない場所にある
- 許可の申請手続きに自信がない、または十分な対策の実績を示せない
- フンが大量にたまり、においや衛生面が気になる
- 賃貸・マンションで、自分の判断で動きにくい
- 撤去してもまた巣を作られる
害虫・害獣駆除サービスに関する相談は、全国の消費生活センターで年々増えています。相談件数は2018年度の854件から、2023年度には2,290件と約2.7倍になり、契約をめぐるトラブルも目立ちます。業者選びでは、許可の有無と、見積もりの内訳を必ず確認しましょう。
とくに気をつけたいのが料金のトラブルです。広告では「約500円〜」とされていたのに、作業後に約20万円を請求された、「約1,000円から」の広告が最終的に約50万円になったという事例も紹介されています。極端な格安料金をうたう広告には注意し、複数社から見積もりを取る・不安をあおる営業には応じない・納得できないときはその場で支払わないことが大切です。



業者の見積もりを比べるときは、「有害鳥獣捕獲の許可を持っているか」「卵・ヒナの扱いをどうするか」「撤去・清掃・再発防止まで含むか」の3点を確認しましょう。許可の有無があいまいな業者は避けたほうが安心です。
鳩の卵の駆除に関するよくある質問
鳩の卵を割ったり、捨てたりしてもいいですか?
いいえ。巣に卵やヒナがいるときは、鳥獣保護管理法により取り除くことが禁止されており、許可なく行うと1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。必ず許可を得るか、許可を持つ業者に依頼してください。
卵があるのに、巣立ちまで待てないときはどうすればいいですか?
有害鳥獣捕獲の許可を得るか、許可を持つ駆除業者に依頼する方法があります。自治体によっては、十分な対策の実績や被害の事実がないと許可されない場合もあります。まずは市の担当窓口に相談してください。
卵が産まれてから巣立つまで、何日かかりますか?
資料によって幅はありますが、卵がかえるまで約16〜18日、ヒナが巣立つまで約30日〜1か月半とされており、産卵から巣立ちまでは約50日が目安です。
卵もヒナもいない巣は、撤去してもいいですか?
はい。卵やヒナがいない巣や空の巣は、許可なく撤去できます。巣材は燃えるごみとして出せる自治体もあります。撤去後は、防鳥ネットなどで再発を防ぎましょう。
駆除業者に頼むと、費用はどのくらいかかりますか?
巣の場所、卵・ヒナの有無、高所作業の有無、清掃やネット施工の有無などで大きく変わるため、一律の金額はいえません。極端に安い広告には注意し、複数社から見積もりを取って内訳を比べてください。
- 鳩の卵は、巣の中にある間は許可なく取り除けない。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象
- 産卵から巣立ちまでは約50日。待てるなら巣立ちを待ち、巣が空になってから撤去する
- 待てない場合は、許可を得るか、許可を持つ業者に依頼する。許可には対策の実績が求められることもある
- 巣の撤去後は、ネットなどで再発防止まで行う










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