「キッチンの隅に食べ物のかけらが落ちている」「石鹸がかじられている」——そんな経験をした方もいるかもしれません。ネズミは私たちが思っている以上に雑食で、食べ物以外のものまでエサにしてしまう動物です。ネズミ対策の基本は「侵入を防ぐこと」と並んで「エサを断つこと」だと、多くの自治体が呼びかけています。この記事では、ネズミが何を食べるのかという生態面のデータから、家の中で実際に狙われやすいもの、エサを断つ具体的な対策までを解説します。
- ネズミは雑食性で、毎日体重の3〜4分の1程度のエサを必要とする大食漢
- クマネズミは植物質、ドブネズミは動物質を好むなど、種類によって好みに違いがある
- 食品だけでなく、石鹸やペットフード、電話線・ガス管までかじられることがある
- 農林水産省のデータでは、ネズミ類を含む「その他獣類」による農作物被害額は年間23億円にのぼる
- 「エサを断つ」環境整備は、国・都道府県・市区町村が共通して呼びかける対策の基本
ネズミは何を食べる?基本の食性を知る

ネズミというと穀物や木の実を少しずつかじるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際はかなりの大食漢です。渋谷区が公開している資料によると、ネズミは雑食で非常に貪食であり、毎日体重の3〜4分の1程度のエサを必要とするとされています。一方で飢餓への耐性は低く、寒い時期であれば約1日、暖かい時期でも4〜5日程度エサが手に入らないと餓死する可能性があると説明されています。つまり、家の中に住み着いたネズミにとって、毎日安定してエサが手に入る環境かどうかが、居座り続けるかどうかを左右するということです。
また同資料では、食べ物以外にも石鹸(風呂場のものを含む)、ペットフード、電話線やガス管などの非食品までかじられる対象になることが紹介されています。「食べ物さえ片付ければ大丈夫」と考えがちですが、実際にはもう少し広い視点で対策を考える必要があるのです。
クマネズミとドブネズミで好物が違う


日本の住宅でよく見られるネズミには、主に「クマネズミ」と「ドブネズミ」の2種類がいます。東京都保健医療局が公開している「都民のためのねずみ防除読本」では、この2種の食性の違いが次のように紹介されています。
| 種類 | 好む食性 | 主な生息場所の傾向 |
|---|---|---|
| クマネズミ | 植物質を好み、穀類・種子などを中心に採食 | 天井裏など高い場所(運動能力が高く高所を好む) |
| ドブネズミ | 動物質を好み、より幅広い食物を摂取 | 床下・下水・水回りなど低い場所 |
屋根裏で物音がする場合は穀物や乾物を中心に、キッチンの床下や排水まわりで気配がする場合は肉・魚などの生ゴミも含めて対策を考えると、より効果的にエサを断つことができます。ただし、どちらの種類も雑食性であることに変わりはなく、実際には両方の食品を食べるため、あくまで「好みの傾向」として捉えるのがよいでしょう。
編集部「うちは穀物なんて置いていないから平気」と思っていても、ドブネズミ系だと生ゴミや調理くずも十分なエサになります。種類を問わず、まずは食べ物全般を片付ける意識が大切です。
家の中でネズミの「エサ」になりやすいもの


「食品を出しっぱなしにしない」というのは基本ですが、実際にはそれ以外にも見落としがちなエサ源があります。名古屋市の案内では、ネズミは「人の食べるものなら何でも食べる」とされており、キッチン以外の場所にも注意が必要です。
- 食材・調味料の出しっぱなし、開封後の食品パッケージ
- キッチン・ダイニングの生ごみ(蓋なし容器や袋のまま放置しているもの)
- 仏壇・神棚のお供え物
- ペットフード(食べ残しや、袋のまま床に置いてあるもの)
- 石鹸や固形せっけんなど、油脂分を含む日用品
- 庭やベランダに置いた野鳥用のエサ台
特に見落とされやすいのが、仏壇のお供え物とペットフードです。渋谷区・名古屋市いずれの案内でも、食品類はふた付きの容器や扉の閉まる戸棚、冷蔵庫などに収納し、夜間に放置しないことが繰り返し呼びかけられています。段ボールやビニール袋に入れて保管している場合、ネズミはかじって簡単に袋を破いてしまうため、プラスチックや金属製のしっかりした容器を使うことがポイントです。
データで見る、ネズミによる食害・被害の規模
「たかがエサの管理」と思うかもしれませんが、ネズミによる食害は家庭内にとどまらず、国全体で見ても無視できない規模の経済的損失を生んでいます。農林水産省が公表している最新の統計から見ていきましょう。
| 区分 | 被害額(令和5年度) |
|---|---|
| 野生鳥獣による農作物被害額(全国合計) | 164億円(前年度比+8.0億円) |
| シカ | 70億円 |
| イノシシ | 36億円 |
| クマ | 7億円 |
| その他獣類(ネズミ類を含む) | 23億円 |
農林水産省の資料では、ネズミ類による被害は個別の内訳としてではなく「その他獣類」という区分にまとめられており、その合計額は23億円となっています。シカやイノシシに比べると小さく見えるかもしれませんが、これは倉庫の穀物や飼料、野菜・果樹の食害など、ネズミが食べ物を目当てに引き起こす被害が全国規模で発生し続けていることを示す数字でもあります。また環境省の資料では、森林分野でも「ノネズミ」による被害面積が計上されており、農地だけでなく山林にも影響が及ぶことが分かります。
自治体が呼びかける「エサを断つ」対策
ネズミのエサ対策は、都道府県・市区町村を問わず共通して呼びかけられている、いわば対策の「基本のき」です。都道府県レベルでは、前述の東京都保健医療局の防除読本において、「餌になるものは徹底的に撤去するか、容器などにしまい、ねずみに触れさせないようにする」ことが防除の重要な柱として説明されています。毒餌(殺そ剤)を使う場合も、周辺に代わりのエサ源がない環境を作っておくことで効果が高まるとされています。
市区町村レベルでは、渋谷区が食材や生ゴミを「冷蔵庫や扉付き戸棚、ふた付き容器などにしっかり収納・保管する」ことを推奨しているほか、名古屋市も「食品類はふた付きの容器に収め、夜間放置しない」「生ごみ類は速やかに処理し、ふた付きのごみ容器に入れる」という、ほぼ同様の対策を案内しています。複数の自治体が同じ内容を繰り返し呼びかけているということは、それだけエサ管理の徹底がネズミ対策の効果を左右すると考えられているということでもあります。



都道府県も市区町村も、言っていることはシンプルです。「食べ物を出しっぱなしにしない」「生ゴミはすぐ捨てる」——当たり前に思えることほど、実は一番効果のある対策なんですね。
今日からできる「エサを断つ」対策チェックリスト


ここまでのデータを踏まえて、家庭で今日から実践できる対策を整理しました。特別な道具がなくても始められるものばかりなので、まずはできるところから取り組んでみましょう。
- 食材・調味料はふた付き容器や扉付きの戸棚、冷蔵庫にしまう
- 生ごみはその日のうちに処理し、ふた付きのごみ容器で保管する
- ペットフードは食べきれる量だけを与え、袋のまま床に置かない
- 仏壇・神棚のお供え物は夜間のうちに片付ける
- 庭やベランダの野鳥用エサ台は、夜間にエサを残さない
- 石鹸などの日用品も、かじられない場所に保管する
エサを断つ対策は、それだけで完全にネズミを駆除できるものではありません。あくまで「ネズミにとって居心地の悪い環境をつくる」ための土台であり、すでに住み着いてしまっている場合は、侵入経路の封鎖や捕獲・駆除とあわせて行う必要があります。
自分での対策が難しい・改善しない場合は業者へ


エサの管理や環境整備を徹底しても被害が収まらない場合、すでに天井裏や壁の中など自分では手が届かない場所に巣ができている可能性があります。次のようなケースでは、専門業者への相談を検討しましょう。
- エサ対策や侵入経路対策を行っても、被害が収まらない
- 天井裏や壁の中など、自分では確認できない場所に気配がある
- 糞や足跡、かじり跡が複数箇所・広範囲に見つかる
- 侵入経路が特定できない、またはすき間が多く自分でふさぎきれない
専門業者であれば、天井裏や床下も含めた家全体の調査、エサ・侵入経路の特定と封鎖、駆除後の消毒・清掃までまとめて対応してもらえます。1社だけで即決せず、複数社を比較して検討することをおすすめします。
※料金・対応エリア・対応スピードなどを比較できます
よくある質問
Q. ネズミは1日にどれくらいのエサを食べますか?
A. 渋谷区の資料によると、ネズミは毎日体重の3〜4分の1程度のエサを必要とするとされています。飢餓耐性も低く、寒い時期は約1日、暖かい時期でも4〜5日程度でエサが尽きると餓死する可能性があるといわれています。
Q. クマネズミとドブネズミで対策方法は変えるべきですか?
A. 東京都の資料では、クマネズミは植物質、ドブネズミは動物質を好む傾向があるとされています。ただしどちらも雑食性のため、食品全般を片付けるという基本方針は共通です。生息場所(天井裏か床下か)に応じて、重点的に管理する場所を調整するとより効果的です。
Q. 食品以外に注意すべきものはありますか?
A. はい。石鹸やペットフード、仏壇・神棚のお供え物、野鳥用のエサ台などもエサとして狙われることがあります。また電話線やガス管などの非食品もかじられる対象になるため、食品以外にも注意が必要です。
Q. エサ対策だけでネズミはいなくなりますか?
A. エサ対策は環境を「居心地悪くする」ための土台であり、それだけで完全な駆除にはつながりません。すでに住み着いている場合は、侵入経路の封鎖や捕獲・駆除とあわせて行う必要があり、改善しない場合は専門業者への相談も検討しましょう。
ネズミは雑食で大食漢な動物であり、食品はもちろん、石鹸やペットフードまでエサにしてしまう点に注意が必要です。国・都道府県・市区町村のいずれもが「エサを断つ」環境整備を対策の基本として呼びかけており、食品や生ごみをふた付き容器で管理することが第一歩になります。エサ対策を徹底しても被害が改善しない場合は、無理をせず専門業者への相談を検討してください。
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