駅前や公園で群れているイメージのドバトですが、住宅街でもベランダや庇、屋根まわりに居着いて、フンや鳴き声に悩まされる家は少なくありません。そこで「ドバトを駆除したい」と考える方が多いのですが、ドバトも野生の鳥で、許可なく捕まえたり、卵やヒナを取り除いたりすることはできません。この記事では、国の資料にみるドバトの由来と被害、法律と許可の条件、駆除(寄せ付けない対策を含む)の方法、自分で対応する場合の流れ、業者に頼むタイミングまでをまとめて解説します。
- ドバトは鳥獣保護管理法の対象。許可なく捕獲したり、卵・ヒナのある巣を撤去したりすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象
- 捕獲の許可は、防鳥ネットや忌避剤など捕獲以外の方法では被害を防げない場合に、例外的に出される。まずは寄せ付けない対策が基本
- 数が増える主な原因はエサやり。給餌を禁止・過料の対象にする自治体もある
- 被害が減らない・高所で危険なときは、許可の手続きや施工に慣れた業者へ相談する
ドバトとは?

ドバトは、街なかで見かける鳩の多くを占める種類です。駆除を考える前に、どんな鳥で、国や自治体がどう扱っているのかを見ておきましょう。
由来と習性:家畜化された鳩が野生化したもの
ドバトは、南ヨーロッパや中近東原産の「カワラバト」を家畜化したものが野生化した外来種で、日本には奈良時代に持ち込まれたとされています(仙台市の資料)。群れで行動し、雨の当たらない棚状の場所に巣をつくる習性があります。
- 繁殖:通年繁殖し(4〜5月が多い)、年3回以上、1回に2個の卵を産む
- 卵がかえるまで:16〜18日
- ヒナが巣立つまで:約30日(資料により約1〜1.5か月)
- 大きさ:全長は約33cm
- 巣をつくる場所:ビルや橋、マンションのベランダなど、雨のかからない場所
同じ「鳩」でも、キジバトは1羽か2羽で行動することが多く、ドバトは基本的に群れで生活すると、農林水産省の資料に整理されています。
国の資料にみる被害:自治体の34%が被害ありと回答
平成11年度のアンケートで、34%の自治体がドバトによる何らかの被害があると回答したことが、2001年の環境省の発表資料に示されています。フンや鳴き声などによる生活環境被害が都市部を中心に起きていて、増える主な原因は公園や社寺などでのエサやりと考えられている、とも説明されています。
ここで押さえたいのは、これが20年以上前の数字だという点です。最新の全国の被害件数は、今回の調査では確認できませんでした。ただ、自治体のページでは今もフンや羽毛の汚れ、においや騒音、近隣とのトラブルが被害として挙げられており、「エサをやらない」が対策の出発点とされている点は変わっていません。
また、1981年の国の通知(環境庁)には、ドバトを狩猟鳥獣に加えることは見合わせる一方、被害状況に応じて駆除を進める考え方が示されています。理由は、ドバトとレース鳩などの飼い鳩を見分けることが必ずしも容易でないためです。古い通知で現行の制度は別に確認が必要ですが、「駆除は被害状況に応じて」という考え方は、今の許可制度にも通じています(編集部の読み取り)。
編集部ドバトは「増える原因」を断たないと、駆除しても別の群れが入れ替わりやすい鳥です。エサやり、フン、巣作りしやすい場所の3つが、対策の柱になります(編集部の知見)。
ドバトの被害に気づいたら、まず何をすればいい?
最初にやるべきことは、被害の場所と規模を記録することです。どこに、何羽、何時ごろ来ているのか、巣や卵はあるのかで、必要な対策と手続きが変わります。
- 来る時間と数:1〜2羽か、群れか。朝・夕・一日中のどれか
- 居着いている場所:ベランダ、庇、屋根、室外機の裏、戸袋など
- 巣材や卵・ヒナの有無:離れた場所から確認し、触らない
- エサやりの有無:自宅か、近所か、公園・社寺など
- 土地・建物の管理者:自宅か、賃貸・マンションか、共用部分か
自宅の敷地以外(道路、電線、公園など)が原因の場合は、その場所の管理者や市区町村の窓口に連絡します。相談先としては、区役所・総合支所の野生鳥獣担当窓口が挙げられています(仙台市の資料)。





ドバトの現場で多いのは、フンの掃除だけを繰り返していて、巣のもとになる場所がそのままになっているお宅です。とまる場所とすき間を先にふさいで、そのうえでフンを掃除すると、戻ってくる回数が大きく減ることがあります。
ドバトは勝手に駆除できる?法律と許可の条件
ドバトの駆除を考えるときに、いちばん大切なのが法律です。ドバトも鳥獣保護管理法の対象で、鳥類の卵も含めて、原則として捕獲や採取は禁止されています。
鳥獣又は鳥類の卵については、その捕獲、殺傷又は採取が禁止されています
環境省「捕獲許可制度の概要」
許可なく捕獲・殺傷・飼育をすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。許可なくドバトを捕まえたり、ヒナや卵を取り除いたりすることはできないと、仙台市の資料にも説明されています。
- どんなとき許可が出るか:防鳥ネットや忌避剤の使用、追い払いなど、捕獲以外の方法では被害を防げない場合に、例外的に許可を受けて捕獲できる(名古屋市の手引)
- 誰が申請するか:土地の所有者か管理者、または依頼を受けた業者が申請し、申請者が捕獲する(大阪市浪速区)
- どこに相談するか:区役所・総合支所の野生鳥獣担当窓口など(仙台市)
- 自治体が駆除してくれるか:私有地の駆除は行わない自治体が多い。民有地の被害は所有者・管理者の判断になる(横浜市、川崎市、立川市)
つまり、「困っているから許可がほしい」だけでは足りず、先に寄せ付けない対策を行った事実が求められるのが一般的です。手続きの窓口や条件は自治体によって異なるため、申請前に必ず担当窓口へ確認してください。
ドバトの駆除方法


「駆除」といっても、個人ができる方法は、エサやりの防止・とまり場所の対策・巣作りの防止が中心です。捕獲は許可制のため、一般の方が自分で行うことはできません。方法ごとの特徴を、まず表で確認しましょう。
| 方法 | 内容 | 許可 | ポイント |
|---|---|---|---|
| エサやりをやめる | 自宅・近所・公園でのエサやりを控える | 不要 | 数が増える主な原因。条例で禁止する自治体もある |
| とまらせない | テグス、剣山、忌避剤など | 不要 | 手すり・室外機の上など、とまる場所に設置する |
| すき間・巣作りの防止 | 防鳥ネット、すき間をふさぐ | 不要 | ネットはすき間があると効果が落ちる |
| 巣の撤去 | 卵・ヒナのいない巣を撤去する | 卵・ヒナがなければ不要 | 巣立ち後は速やかに撤去し、再利用を防ぐ |
| 捕獲(駆除) | 箱わななどによる捕獲 | 必要 | 捕獲以外で被害が防げない場合に限る。許可を持つ業者などが対応 |
エサやりをやめる:条例で過料の対象にする自治体も
ドバトは繁殖力が強く天敵も少ないため、エサを与えると増えやすく、周辺のトラブルや病気のリスクにつながると、大阪市浪速区の資料で説明されています。「ハトへのエサやり行為はやめましょう」と、仙台市も呼びかけています。
東京では、給餌を条例で規制する区もあります。【東京】大田区は令和4年4月に条例を施行し、公共の場所での給餌を禁止、指導に従わない場合は5,000円の過料の対象としています。令和7年4月施行の板橋区の条例では、命令に従わない場合は5万円以下の過料とされています。
とまらせない:テグス・剣山・忌避剤
ドバトは降りる前に手すりにとまって安全を確かめる習性があるため、手すりにとまれなくする「テグス法」が紹介されています。
- 材料:釣り用テグス(3〜8号)、または20番程度のステンレスワイヤ
- 高さ:手すり上面から5〜6cm。ピンと張る(たるむと効果がない)
- 間隔:手すりの幅が広い場合は、約5cm間隔で並べて張る
- 固定:3cm角程度の木片やL型金具を使う
このほか、鳥よけ用の剣山、ジェルタイプの忌避剤、木酢液などの方法も、自治体の資料で紹介されています。ただし、効果を数字で示した資料は確認できなかったため、効き目には差があります(編集部の目安)。
すき間・巣作りの防止:ネットで囲う
エアコンの室外機の周辺や、人の出入りが少ない隅は巣を作られやすいため、入れない工夫が必要とされています。ベランダには防鳥ネットをすき間なく張ると効果的ですが、壁とネットの間にすき間があると効果が薄れるおそれがあるため、専門業者への依頼が推奨されています。
巣の撤去:卵・ヒナの有無で変わる
卵やヒナのいない巣や空の巣は、許可なく撤去できます。巣立ちを待ってから、手袋・マスクを着用し、ごみとして処分します。卵は約16〜18日でかえり、ヒナは約1か月で巣立つため、その間は待つのが基本です。
ドバトといえども巣に卵やヒナがいるときは、鳥獣保護管理法により、卵やヒナを取り除くことは禁止されています。
埼玉県「野生鳥獣の管理(野生鳥獣に関するお困りごと)」
捕獲(駆除):許可を持つ業者などが対応
寄せ付けない対策で被害が減らない場合に限り、許可を受けて捕獲する方法があります。申請者が自ら捕獲するのが原則のため、専門的な作業は許可を持つ業者に依頼するのが現実的です。



「駆除」と聞くと捕獲をイメージしますが、実際の解決は、エサ・とまり場所・巣の3つを断つことが中心です。捕獲だけで一時的に減らしても、条件が変わらなければ別の個体が入れ替わりやすいためです(編集部の知見)。
ドバト対策を自分で行う場合の流れ
捕獲や、卵・ヒナのある巣の撤去は、許可がなければ行えません。高所や手すりの外側での作業は転落の危険もあるため、無理せず管理者や業者に相談してください。以下は、自分でできる範囲に限った流れの目安です。
- ドバトが来る時間・場所・数、巣材や卵の有無を確認し、写真とメモを残す(卵・ヒナがあれば触らない)
- 使い捨て手袋とマスクを着用し、フンを水で湿らせてから取り除き、洗剤や消毒用薬剤で拭いて乾かす
- 近所や家族のエサやりがないか確認し、あれば控えてもらう
- 手すりの上面から5〜6cmの高さに、テグスをたるまないように張る
- 室外機の裏や下、物陰になる場所のすき間をふさぎ、物を置かない
- 必要に応じて剣山や忌避剤を、とまる場所に設置する
- 数日おきに様子を見て、戻ってきていたら対策を見直す(ネットが必要なときは業者に相談する)
途中で卵やヒナが見つかったときや、ネットを張る場所が高所のときは、そこで作業を止めて相談しましょう。
ドバト駆除の注意点とポイント
駆除そのものに加えて、衛生面や賃貸での手続きなど、つまずきやすい点をまとめて確認しましょう。
フンの掃除は手袋・マスクで、舞い上げない
ドバトのフンに関わる病気として、オウム病、クリプトコックス症などが心配されています。クリプトコックス症は、国内で年間約150例が報告され、60歳以上が80%以上を占めるとされています。感染源はフンに限らないため、鳩が直接の原因とは限りませんが、乾いたフンは吸い込まないことが基本です。
賃貸・マンションは管理者に連絡する
ベランダが共用部分にあたる場合は、勝手にネットを張れないことがあります。集合住宅のベランダの被害は、管理者への相談が一つの方法とされています(横浜市の資料)。
ヒナが落ちていても触らない
ヒナが巣から落ちても、近くに親鳥がいるため、そのままにして直接触らないようにとされています。
自分での対応が難しい場合は駆除業者へ
次のようなときは、無理に自分で対応せず、専門業者に相談するほうが安全です。
- 寄せ付けない対策をしても、数日で戻ってくる
- 捕獲の許可が必要な状況で、手続きや作業が自分では難しい
- 卵・ヒナのある巣があり、待てない事情がある
- 屋根や高所、広いベランダで、ネット施工が難しい
- フンが大量にたまり、衛生面が気になる
- 賃貸・マンションで、自分の判断で動きにくい
害虫・害獣駆除サービスに関する相談は、全国の消費生活センターで年々増えています。相談件数は2018年度の854件から、2023年度には2,290件と約2.7倍になり、契約をめぐるトラブルも目立ちます。
とくに気をつけたいのが料金のトラブルです。広告では「約500円〜」とされていたのに、作業後に約20万円を請求された、「約1,000円から」の広告が最終的に約50万円になったという事例も紹介されています。極端な格安料金をうたう広告には注意し、複数社から見積もりを取る・不安をあおる営業には応じない・納得できないときはその場で支払わないことが大切です。



見積もりを比べるときは、「捕獲の許可や手続きに対応しているか」「ネットや忌避の施工範囲」「清掃・消毒が含まれるか」の3点を確認しましょう。追加料金の条件が書面にあるかも大切です(編集部の知見)。
ドバトの駆除に関するよくある質問
ドバトを自分で捕まえてもいいですか?
いいえ。ドバトも鳥獣保護管理法の対象で、許可なく捕獲・殺傷すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。捕獲は、捕獲以外の方法で被害を防げない場合に、許可を受けて行うのが原則です。
ドバトの卵やヒナを取り除いてもいいですか?
許可なく取り除くことはできません。卵は約16〜18日でかえり、ヒナは約1か月で巣立つので、巣立ちを待つか、許可を得た対応が必要です。卵やヒナのいない巣は、許可なく撤去できます。
エサをやっている人がいる場合はどうすればいいですか?
エサやりは、ドバトが増える主な原因とされています。自治体によっては、給餌を条例で禁止し、過料の対象にしています。まずは市区町村の窓口や、場所の管理者に相談しましょう。
テグスや剣山だけでドバトを防げますか?
被害が軽い段階では効果が期待できますが、巣作りやねぐらの段階では、ネットなどですき間をふさぐ対策が必要です。効果を数字で示した資料は確認できなかったため、様子を見ながら組み合わせましょう。
業者に頼むと、費用はどのくらいかかりますか?
場所の広さ、ネットの範囲、フンの清掃・消毒、捕獲許可の有無などで大きく変わるため、一律の金額はいえません。極端に安い広告には注意し、複数社から見積もりを取って内訳を比べてください。
- ドバトは法律で守られており、許可なく捕獲したり、卵・ヒナのある巣を撤去したりできない
- 駆除の中心は、エサやりの防止・とまり場所の対策・巣作りの防止。捕獲は、捕獲以外で防げない場合の例外
- 手すりのテグス(上面から5〜6cm)、すき間をふさぐ、ネットなどを組み合わせる
- 被害が続く・高所で危険なときは、許可や施工に慣れた業者に相談する










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