ベランダや室外機のまわり、天井裏のあたりから、つんと鼻をつく嫌なにおいがする。その原因は、鳩のフンや巣、羽毛、ときには死骸かもしれません。鳩のにおいは、気分の悪さだけの問題ではなく、乾いたフンが粉じんになって舞うことで健康面の心配にもつながります。さらに、鳩は同じ場所に何度も戻ってくるため、においの元を放置するほど被害が広がりやすくなります。この記事では、フンに関わる感染症の国のデータ、においの原因と出やすい場所、鳩の繁殖サイクル、巣や卵があるときの法律上の注意、業者に相談すべきタイミングまでをまとめて解説します。
- 鳩のにおいの主な原因は、フン・巣材・羽毛・ダニ・死骸。乾いたフンの粉じんを吸い込むと、オウム病やクリプトコックス症などの感染症につながることがある
- オウム病の国内報告数は2002年の54件をピークに減り、近年は年に数件〜十数件。ただし重症化することがあり、素手で触らないことが大切
- 卵やヒナがいる巣は、許可なく撤去・捕獲できない。ヒナが巣立ったあとの対応になる
- においが残る・また戻ってくる場合は、清掃・消毒・再発防止まで含めて専門業者に相談する
鳩のフンのにおいは健康に影響する?

鳩のにおいで心配なのは、においそのものよりも、乾燥したフンが粉じんとなって空気中に舞い、それを吸い込むことです。国の感染症に関する資料では、鳩のフンに関わる代表的な病気として、オウム病とクリプトコックス症が挙げられています。
オウム病:国内の報告数は2002年をピークに減少
オウム病は、インコ、オウム、ハトなどの鳥のフンに含まれる菌を吸い込むことで感染する病気で、潜伏期間は1〜2週間、突然の高熱や頭痛、咳などが出るのが特徴です。感染した妊婦が重症化し、胎児とともに亡くなった事例も報告されています。ただし、感染の報告はオウム・インコ類からのものが多いとされており、患者の多くが鳩から感染したという意味ではない点は押さえておきましょう。
| 年 | オウム病の報告数(全国) |
|---|---|
| 1999年 | 23件 |
| 2002年 | 54件(1999年以降の最多) |
| 2005年 | 34件 |
| 2008年 | 9件 |
| 2010年 | 11件 |
| 2015年 | 5件 |
| 2017年 | 13件 |
| 2019年 | 13件 |
| 2021年 | 9件 |
| 2022年 | 12件 |
| 2023年 | 8件 |
| 2024年 | 4件(2025年11月15日時点) |
全国の報告数は、2002年の54件をピークに減り、2010年以降は毎年一桁〜十数件で推移しています。国内では年間10例前後が報告されているとされ、件数は多くありませんが、重症化すると多臓器不全で亡くなることもある病気です。件数が少ないからと軽く見ず、フンには近づかない・触らないを基本にしましょう。
クリプトコックス症:鳩のフンなどに含まれる真菌を吸い込む
クリプトコックス症は、土壌中や、鳩などの鳥のフンの中にいる真菌を吸い込むことで感染する病気です。人から人へ直接うつることはありません。日本国内では年間約150例が報告されており、60歳以上が80%以上、免疫が低下している人が75%以上を占めるとされています。潜伏期間は2か月から11か月ほどと長く、症状が出たときには感染源が分かりにくい点も特徴です。
なお、感染源はフンに限らず土壌などもあるため、鳩のフンが直接の原因と決まるわけではありません。それでも、高齢の方や持病・治療などで免疫力が落ちている方は、フンがたまった場所に長くとどまらないことが大切です。
鳩のにおいに気づいたら、まず何を確認する?
鳩のにおいに気づいたときは、「触らない」「近づきすぎない」ことが最初のポイントです。死んだ野鳥や、フンが積もった場所には、細菌や寄生虫がいるおそれがあるため、素手で触れないことが基本とされています。
そのうえで、においがする場所、フンや羽毛の量、巣らしきものの有無、鳩を見かける時間帯を写真やメモに残しておきましょう。この記録があると、後から業者に状況を伝えやすく、見積もりのズレも防げます(編集部の目安)。賃貸の場合は、管理会社や大家さんへ早めに連絡しておくと安心です。
編集部鳩のにおいは、フンを片づけてもまた戻ってくることが多いのが厄介なところです。においの元がどこで、なぜ戻ってくるのかを知ることが、解決への近道になります。まずは実際の作業の様子を見てみましょう。


こちらは、ベランダに積もったフンの清掃と消毒を終え、鳩が戻れないように対策を施している場面です。床や手すりの目地に染み込んだ汚れは、見た目がきれいになっても、においが残りやすい場所です。



においが取れない現場では、フンそのものだけでなく、室外機の裏や排水口まわりに古い巣材や羽毛が残っていることがよくあります。目に見える汚れだけを片づけても、においの元が残っていれば、鳩はその場所を「自分の場所」と覚えて戻ってきます。
それでは、鳩のにおいがどこから出ているのか、原因から整理していきましょう。
鳩の嫌なにおいの原因


- フン:乾くと粉っぽく、湿るとアンモニアのようなツンとしたにおいが出る。白い部分と黒っぽい部分が混ざり、手すりや床に固まって付着する
- 巣材・古い巣:ほこりやカビ、動物のにおいが混ざった重たいにおい。室外機の裏やベランダの隅に、小枝や羽毛が集まっている
- 羽毛:動物特有のにおいと、ほこっぽいにおい。ベランダや排水口に抜けた羽が溜まる
- ダニ・虫:直接のにおいは少ないが、巣の不衛生さを示すサイン。巣の近くで皮膚のかゆみが出ることがある
- 死骸・ヒナの死:強い腐敗臭が出て、ハエが集まる。急ににおいが強くなったときは要注意
上の5つは、においの特徴や見分け方の目安です(編集部の知見)。複数が重なっていることも多いため、においの元が1つとは限りません。
鳩のにおいの主な原因は、フンが積み重なって湿ったり、乾いたりをくり返すことです。鳩は同じ場所にとまり続ける習性があり、特にベランダの手すりや室外機のまわり、庇の下など、雨が当たりにくい場所にフンが溜まりやすくなります。雨が当たらない場所ではフンが洗い流されず、積み重なってにおいが濃くなります(編集部の知見)。
もうひとつ見落としがちなのが、巣材や羽毛、そして巣にすみつくダニです。自治体の資料でも、ベランダなどに巣を作られると周囲が汚れ、ダニが発生するという苦情があること、フンや羽毛による汚れとともに悪臭が被害として挙げられていることが紹介されています。
また、巣の中でヒナや卵が死んでしまった場合や、鳩が死骸になった場合は、強い腐敗臭が出て、ハエなどの虫が集まります。こうした場合は、素手で触れず、施設や敷地の管理者、または地域の清掃部署に連絡し、自分で処理しようとしないことが大切です。
鳩のにおいが出やすい場所
| 場所 | においが出やすい理由 | チェックしたい点 |
|---|---|---|
| ベランダ(手すり・床) | 雨が当たりにくく、フンが固まって残りやすい | 手すりや壁際、排水口のまわり |
| エアコン室外機の上・裏・下 | 人目につかず、巣を作りやすい | 室外機の裏、配管のすき間 |
| 庇(ひさし)・軒下 | 雨風をしのげ、フンがたまりやすい | 庇の裏、梁の上 |
| 屋根裏・天井裏 | 暗く暖かく、巣を作られると気づきにくい | 天井のシミ、羽音、においが強まる時間帯 |
| 給湯器・配管まわり | すき間が多く、風が当たらない | 配管の貫通部、バルコニーの隅 |
においが出やすいのは、雨風が当たりにくく、人目につきにくい場所です。ベランダの隅や室外機の裏、庇の裏などは、鳩にとって「安心して休める場所」であると同時に、フンや巣材がたまっても気づきにくい場所でもあります。自治体の資料でも、人の出入りが少ないベランダの隅や、エアコン室外機の下や裏が、巣を作りやすい場所として挙げられています。
屋根裏や天井裏に入り込まれている場合は、においが部屋の中まで届くこともあります。ベランダの外側だけで原因が見つからないときは、天井のシミや、朝夕の羽音がないかも合わせて確認してみてください(編集部の目安)。
鳩が同じ場所に戻ってくる理由と繁殖サイクル
| 資料 | 1回の産卵数 | 年間の繁殖回数 | 卵がかえるまで | 巣立ちまで |
|---|---|---|---|---|
| 立川市(東京都) | 普通2個 | 年5〜6回(栄養状態が良いと7〜8回) | 約16〜18日 | 約1か月〜1か月半 |
| 小平市(東京都) | 2個 | 年3〜5回 | — | 産卵から約50日 |
| 習志野市(千葉県) | 2個 | 1年中、年に数回 | — | 約30〜40日 |
| 大阪市 | — | 早春から初冬まで何度も | 16〜18日 | 約30日 |
鳩のにおいが「何度片づけても戻る」背景には、鳩の繁殖力の高さがあります。資料によって数字に幅はありますが、1回に2個の卵を産み、年に3〜6回、栄養状態がよいと7〜8回も繁殖するとされています。卵がかえるまでは約16〜18日、巣立ちまでは約1か月、長いと1か月半ほどかかります。
さらに、鳩は古い巣を再利用することがあるため、ヒナが巣立ったあとに巣材やフンが残っていると、そこにまた戻ってきます。同じ場所での繁殖が続くと、においの元も年々増えていくことになります。ヒナが巣立ったあと、巣材の撤去と清掃、再発防止までを速やかに行うことが、においを根本から断つポイントです。
鳩のにおいを放置するとどうなる?被害とリスク
鳩のにおいを放置すると、においだけでなく、建物や暮らしにもじわじわと影響が出てきます。ここでは、健康面(前述)以外の被害をまとめます。
建物の傷みと、洗濯物・生活への影響
フンの付着は、金属の腐食や建築物の汚染につながります。ベランダの手すりや室外機のカバー、庇の金属部分に付いたフンを放置すると、サビや塗装のはがれが進み、補修費用がかさむことがあります。また、洗濯物にフンや羽毛が付着したり、窓を開けるとにおいが入ってきたりして、日常生活にも影響します。
近隣トラブル・賃貸での注意
においやフンの被害は、自分の家だけでなく、隣家や下の階にも及ぶことがあります。フンが飛ばされて洗濯物に付いたり、鳴き声が騒音になったりすると、近隣トラブルに発展するおそれがあります(編集部の知見)。賃貸やマンションの場合は、自分の判断でベランダに工事や設置をする前に、管理会社や管理組合への連絡が必要です。
鳩の数が増えて、被害が広がる
フンを放置すると、鳩がさらに集まりやすくなると資料でも指摘されています。においが濃くなるほど、鳩にとって「居心地のよい場所」になり、群れで住み着くことで被害が拡大します。
巣・卵・ヒナがあるときの注意(法律)
においの元として巣を見つけた場合に、最も気をつけたいのが卵やヒナがいる巣を、許可なく撤去したり、捕まえたりしてはいけないという点です。野生の鳥獣は鳥獣保護管理法で保護されており、卵やヒナも対象です。許可なく捕獲・殺傷・飼育すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。
迷惑だからといって、捕まえたり、卵やヒナを捕ってはいけません。
大阪市「ドバトについて」
卵やヒナがいる巣は、ヒナが巣立つのを待ってから撤去するのが基本です。巣立ちまでは約1か月かかるため、においが気になる時期でも、すぐに巣を取り除くことはできません。一方、卵やヒナのいない空の巣であれば、撤去に特別な許可は不要とされています。
許可を得て駆除を行う場合は、土地の所有者・管理者、または依頼を受けた業者が申請する形になります。また、自治体は私有地での鳩の駆除を行っておらず、民間の業者は有料の相談になるのが一般的です。都内では東京都ペストコントロール協会、千葉県では千葉県害虫防除協同組合などの団体を通じて、駆除業者の相談窓口が用意されています。



卵やヒナがあると、においが気になっても、すぐには巣を取り除けません。「待つ期間」と「巣立ったあとの清掃・再発防止」をセットで考えておくと、慌てずに済みます。
鳩のにおい対策の注意点とポイント
においの原因や法律を押さえたうえで、被害の見極め方、餌やり、賃貸での連絡、死んだ鳥を見つけたとき、健康に不安がある人への配慮といった、現場でつまずきやすいポイントを整理しておきましょう。
ベランダの被害レベルを見極める
| レベル | ベランダでの鳩の様子 |
|---|---|
| レベル1 | 羽休めのため、短時間とまる |
| レベル2 | ほかの鳩を待つ待機場所として使っている |
| レベル3 | ねぐらとして、早朝や深夜も長時間住み着く |
| レベル4 | 巣を作り、卵を産んでいる |
鳩の被害は、一時的に羽を休めるだけの段階から、巣を作って卵を産む段階まで、4段階に分けて考えられています。レベル3〜4になると、フンの量もにおいも一気に増え、法律上の制約(卵やヒナの扱い)も出てくるため、早めの判断が大切です。レベル3では、防鳥ネットと壁のすき間があると効果が薄れるおそれがあるとして、専門業者への依頼が勧められています。
餌やりをしない
鳩が集まる原因の多くは餌やりで、餌が多いと数が増え、営巣や産卵も増えるとされています。餌やり自体は法律で規制されていませんが、フン害など他の人に迷惑がかかるため、やめるよう呼びかけられています。都内の区では、2024年11月にハトなどへの給餌による被害防止条例を制定したと発表されています。
死んだ鳩やヒナを見つけたとき
死んだ野鳥を見つけた場合は、素手で触らず、道路や公園などでは施設の管理者に、自宅の庭などでは地域の清掃部署に相談するのが基本です。野鳥は細菌や寄生虫を持っているおそれがあります。巣立ったばかりのヒナは、地面に降りていても親鳥が世話を続けていることが多く、大半は保護の必要がありません。
健康に不安がある人は、フンの近くにとどまらない
高齢の方や、持病・治療などで免疫力が低下している方、妊娠中の方は、フンが堆積した場所に近づかないことが大切です。同居する家族がいる場合も、においの強い場所での長時間の作業は避け、状況の確認や対応は、できるだけ専門業者に任せるようにしましょう。
鳩のにおいが続く・戻る場合は専門業者へ


次のような状況では、フンの片づけだけでは解決しにくく、専門業者に相談するのが安心です。
- 清掃しても嫌なにおいが取れない、またすぐに戻ってくる
- フンの量が多く、乾いて粉じんが舞いやすい状態になっている
- 巣や卵・ヒナがあり、法律上の対応が分からない
- 室外機の裏、庇の裏、天井裏など、手の届きにくい場所が原因になっている
- 免疫力が低下している家族や、妊娠中の家族がいる
- 賃貸・マンションで、自分の判断で工事や設置ができない
専門業者に依頼する場合は、清掃・消毒・消臭に加えて、巣材の撤去と、鳩が戻れないようにするための対策まで含めてもらえるかを確認しましょう。においの元を取り除くだけでは、鳩が再び戻ってくるため、再発防止までが一連の作業になります(編集部の知見)。
業者選びで気をつけたいのが、料金のトラブルです。害虫駆除では、広告では「約500円〜」とされていたのに、作業後に約20万円を請求された、「約1,000円から」の広告が最終的に約50万円になったという事例が、国民生活センターから紹介されています。3ケタ台などの極端な格安料金をうたう広告には注意し、複数社から見積もりを取る・不安をあおる営業には応じない・納得できないときはその場で支払わないことが大切です。



鳩のにおいの見積もりを比べるときは、「清掃・消毒」「巣材の撤去」「再発防止の対策」の3つが、どこまで含まれているかを確認しましょう。内訳が見えない一式料金は、あとで追加請求になりやすいので注意が必要です。
鳩の嫌なにおいに関するよくある質問
鳩のフンのにおいは、体に悪いですか?
においそのものよりも、乾いたフンの粉じんを吸い込むことが心配です。鳩などのフンに含まれる菌や真菌が原因で、オウム病やクリプトコックス症などの感染症につながることがあります。国内の報告数は多くありませんが、高齢の方や免疫力が低下している方は特に注意が必要です。
フンを片づけても、においが取れないのはなぜですか?
フンが床や目地に染み込んでいたり、室外機の裏などに巣材や羽毛が残っていたりして、においの元が残っていることが多いためです。鳩はにおいや汚れが残る場所に戻ってくるため、巣材の撤去と再発防止まで行うことが大切です。
巣に卵があるのですが、すぐに撤去してもいいですか?
卵やヒナがいる巣は、許可なく撤去できません。鳥獣保護管理法で保護されており、ヒナが巣立ってから撤去するのが基本です。巣立ちまでには約1か月かかります。
市役所は鳩のにおい対策をしてくれますか?
自治体は私有地での鳩の駆除を行っていないことが多く、対応が難しい場合は、有料の駆除業者を自分で探すことになります。環境担当の窓口に相談すると、業者の団体を紹介してもらえることがあります。
業者に頼むと、費用はどのくらいかかりますか?
被害の範囲、場所、フンの量、巣の有無などによって大きく変わるため、一律の金額はいえません。極端に安い広告には注意し、複数社から見積もりを取って、作業の内訳を比べてください。
- 鳩のにおいの主な原因は、フン・巣材・羽毛・ダニ・死骸。乾いたフンの粉じんは、オウム病やクリプトコックス症の感染につながるおそれがある
- オウム病の国内報告数は2002年の54件をピークに減少したが、重症化することがあるため、フンには触らない
- 鳩は年に数回繁殖して同じ場所に戻る。卵やヒナがいる巣は許可なく撤去できない
- においが続く・戻る場合は、清掃・消毒・再発防止まで含めて専門業者に相談する










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