シロアリ予防10年は本当?薬剤の効果期間と保証の見極め方

シロアリ予防10年は本当?薬剤の効果期間と保証の見極め方


「シロアリ予防は10年安心」「新築だから10年は大丈夫」——住宅の広告や営業トークで、こうした「10年」という数字を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかしこの「10年」が何を指しているのかは、実は制度や商品によって意味が異なります。この記事では、新築住宅の10年保証とシロアリ予防の関係、薬剤処理の効果が実際に何年もつのか、そして「10年予防」をうたう商品との付き合い方を解説します。

この記事のポイント
  • 新築住宅の「10年保証」は法律上の制度で、シロアリ予防の保証年数とは別の話
  • 国の調査では、防蟻処理の表面塗布は「5年が限度」とされている
  • 保証期間内でも約7.3%、保証切れ後は約18.6%の住宅で被害が確認されている
  • 「10年予防」をうたう商品を選ぶ際は、保証書の内容を具体的に確認することが大切
目次

「シロアリ予防10年」は何を指しているのか

大量発生したシロアリの画像

「新築住宅は10年保証」という話を聞いたことがある方は多いと思いますが、これは主に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」および「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」にもとづく制度で、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を建設業者・宅建業者が負うというものです。国土交通省の資料でも、対象となるのはこの2つの部分に限られることが明記されています。

ここで注意したいのは、この法律上の10年保証は、シロアリそのものの被害を直接保証する制度ではないという点です。シロアリの食害によって土台や柱が構造上の欠陥につながった場合に結果として保証の対象になることはあっても、「シロアリが発生しないこと」自体を10年間保証するものではありません。シロアリ予防としての「10年保証」は、あくまで各施工業者が独自に用意している商品・サービスとして別に存在している、という整理をしておくと分かりやすくなります。

出典:国土交通省中国地方整備局「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」/国土交通省「10年間の瑕疵担保責任を負うべき部分(施行令案)」

編集部

「新築だから10年は安心」という言葉を聞いても、それがシロアリ予防の話なのか、住宅全体の瑕疵担保責任の話なのかを一度整理してみると、見積もりや保証内容を正しく理解しやすくなります。

薬剤による防蟻処理の効果は何年もつのか

では、実際に薬剤で行う防蟻処理の効果はどのくらい持続するのでしょうか。国土交通省の補助事業として実施された「シロアリ被害実態調査」(全国5,322棟を対象)では、木部表面への薬剤塗布による防蟻処理は「5年が限度」とされています。多くの業者が5年ごとの再処理・点検を推奨しているのは、この薬剤の効果持続期間が背景にあると考えられます。

同調査では、防蟻処理の保証期間内の住宅で被害(生物劣化被害)が確認された割合は約7.3%だったのに対し、保証が切れて再施工しないまま一定期間が経過した住宅では約18.6%まで被害の割合が上昇していました。さらに、過去に駆除歴がある住宅(6年以内)に限ると、被害発生率は90%を超えるという結果も示されています。一度防除処理をしても、期間が経てば効果は薄れ、再発リスクが大きく高まることが、このデータからうかがえます。

出典:国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」

「10年予防」をうたう商品・工法

なぜ「10年保証」をうたう商品があるのか

薬剤の表面塗布が5年程度で効果が薄れるとされる一方で、木材に薬剤を深く浸透させる加圧注入処理や、ホウ酸系のように薬剤自体が揮発・分解されにくい成分を使う工法など、より長期間の効果を狙った処理方法もあります。こうした工法を採用することで「10年保証」を打ち出している業者もあり、一律に「10年保証=誇大広告」というわけではありません。ただし、どの工法を使っているか、保証の条件は何かによって内容は大きく異なります。

保証書の内容で確認したい3つのポイント

「10年保証」という言葉だけで判断せず、保証書の中身を具体的に確認することが大切です。①保証の対象がシロアリの再発なのか、それとも被害箇所の補修費用なのか、②保証を受けるために定期点検の受診が条件になっていないか、③保証期間中に点検を怠った場合、保証が無効になる条件があるかの3点は、特に確認しておきたいポイントです。「10年」という数字だけでなく、その中身までセットで比較することをおすすめします。

「予防したから安心」ではなく点検とセットで考える

保証期間が長い商品を選んだとしても、床下の環境が変化したり、施工時に見えなかった箇所から被害が広がったりする可能性はゼロではありません。「10年保証だから10年間は何もしなくていい」と考えるのではなく、保証期間中であっても定期的な点検を受けることが、結果的に被害を早期に発見し、保証をきちんと活用することにもつながります。

編集部

「10年」という数字の長さだけで安心せず、保証の中身と点検の頻度をセットで確認する。これが、長期的に見て一番損をしない選び方です。

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※対応エリア・料金・保証内容をまとめて確認できます

登録業者・継続的な点検という視点

横浜市が定める「建築物ねずみ昆虫等防除業」の登録基準では、登録業者に対して2か月以内ごとに1回の生息状況調査などが求められています。これはビル等の建築物を対象とした基準ですが、「一度処理したら終わり」ではなく、継続的な調査・点検が防除の基本という考え方を示すものとして参考になります。一般住宅でシロアリ予防を依頼する際も、施工後の点検体制がどうなっているかを、契約前に確認しておくとよいでしょう。

出典:横浜市「建築物ねずみ昆虫等防除業の登録基準」

自分での対策が難しい・改善しない場合は業者へ

害虫駆除業者が作業している写真

保証年数や工法の違いは、専門知識がないと比較が難しい部分も多くあります。どの工法・保証内容が自宅に合っているか判断がつかない場合や、すでに保証が切れて不安がある場合は、無理に自己判断で進めず、早めに専門業者への相談を検討しましょう。

業者への相談を検討すべきサイン
  • 前回の防蟻処理・保証がいつ切れるか分からない、もしくは切れている
  • 「10年保証」の中身(対象範囲・点検条件)を詳しく確認したい
  • 築年数が経っていて、一度も床下を点検したことがない
  • 複数の業者・工法の違いを比較したうえで選びたい

専門業者に依頼すると、現在の床下の状態確認、工法ごとの効果・保証内容の説明、点検スケジュールの提案までまとめて対応してもらえます。料金や保証内容は業者によって差があるため、1社だけで即決せず複数社を比較することをおすすめします。

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よくある質問

Q. 新築住宅なら、10年間シロアリの心配はいりませんか?

A. 新築住宅の「10年保証」は法律にもとづく瑕疵担保責任の制度で、構造耐力上主要な部分と雨水浸入防止部分が対象です。シロアリの発生そのものを10年間保証する制度ではないため、別途、防蟻処理の保証内容を確認する必要があります。

Q. 薬剤による防蟻処理は、実際何年くらい効果がありますか?

A. 国土交通省の調査では、木部表面への薬剤塗布は「5年が限度」とされています。多くの業者が5年ごとの再処理・点検を推奨しているのは、この効果持続期間が背景にあると考えられます。

Q. 「10年保証」をうたう業者は信頼できますか?

A. 加圧注入処理やホウ酸系の薬剤など、長期間の効果を狙った工法を使っている場合、10年保証自体は不自然ではありません。ただし、保証の対象範囲や、点検が保証継続の条件になっているかなど、保証書の中身を具体的に確認することをおすすめします。

Q. 保証期間中でも点検は必要ですか?

A. 必要です。保証期間内でも約7.3%の住宅で被害が確認されているというデータもあり、保証があるからといって被害が起きないわけではありません。保証期間中も定期的な点検を受けることで、早期発見につながります。

まとめ

「シロアリ予防10年」という言葉には、新築住宅の法律上の10年保証と、防蟻処理そのものの保証という、性質の異なる2つの意味が混在しています。国の調査では薬剤の表面塗布は5年が限度とされ、保証切れ後は被害発生率が大きく上昇するというデータもあります。「10年」という数字だけで判断せず、保証の中身と点検体制まで確認したうえで、複数の専門業者を比較して信頼できる依頼先を選びましょう。

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本記事は、国土交通省・国土交通省中国地方整備局・横浜市が公表している資料をもとに作成しています。

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