庭木や車庫の軒下に、とっくりを逆さにしたような灰色の塊がついているのを見つけたことはありませんか。それはコガタスズメバチの初期巣かもしれません。初期段階であれば比較的対処しやすい一方、夏を過ぎるとバレーボールほどの大きさまで急成長します。この記事では、コガタスズメバチの初期巣の特徴や見分け方、正しい対処法を、国や自治体が公表している資料をもとに解説します。
- 林野庁によると、令和6年の蜂刺されによる死亡者は全国で18名にのぼる
- 三鷹市の情報では、コガタスズメバチの巣は5月頃から作られ始め、8月下旬までにバレーボールほどの大きさに成長する
- 初期の巣は「逆さのとっくり」のような独特の形をしている
- 自治体によっては巣の駆除費用の一部を補助する制度がある
スズメバチによる被害は毎年一定数発生している

「初期段階だから大丈夫」と油断するのは禁物です。林野庁が公表している資料によれば、令和6年(2024年)に蜂刺されが原因で死亡した人は全国で18名にのぼります。林業従事者に限ると平成26年以降は死亡者が出ていませんでしたが、令和5年(2023年)には2名の死亡者が報告されており、油断できない状況が続いています。
同資料では、危険な蜂としてスズメバチとアシナガバチが挙げられており、特にスズメバチは攻撃性が強く、注意が必要とされています。コガタスズメバチも例外ではなく、初期の巣であっても不用意に近づいて刺激すれば、防衛のために攻撃してくる可能性は十分にあります。
編集部「小さい巣だから平気」という思い込みが、一番の落とし穴です。初期段階でも近づきすぎないことを意識しましょう。
コガタスズメバチの毒性・危険性


山梨大学医学部附属病院アレルギーセンターが公開している情報によると、日本国内での蜂刺傷による死亡数は年間20名前後とされ、その多くがアナフィラキシーショックによるものとされています。多くの患者が、刺されてから30分以内に何らかの症状を自覚するとされており、コガタスズメバチを含むスズメバチ類は、この危険性の中心的な存在の一つとされています。
同センターの情報では、林業・木材製造業従事者の約40%、電気工事従事者の約30%が、ハチ毒に対する特異的IgE抗体(アレルギー反応を起こしやすい体質のサイン)を保有していると報告されています。一度刺された経験がある人ほど、次に刺された際に重い症状が出やすいとされるため、コガタスズメバチであっても「小型だから平気」と軽視せず、過去に刺されたことがある人は特に注意が必要です。症状は全身のじんましんや消化器症状にとどまらず、呼吸困難や血圧低下によるショックにまで及ぶことがあるとされています。
コガタスズメバチの初期巣の特徴とサイズ


体のサイズと巣の成長過程
三鷹市が公開している情報によると、コガタスズメバチの体長は21〜27ミリメートルほどとされていますが、飛行時にはより大きく感じられることもあります。巣作りは女王バチによって5月頃から始まり、初期段階では逆さのとっくりのような独特の形をしています。
その後、巣は少しずつ成長を続け、8月下旬までには球形になり、バレーボールほどの大きさにまで育つとともに、個体数も大きく増加するとされています。巣は樹皮を噛み砕いて唾液と混ぜて作られるため、使用する樹木の種類によって色合いが異なり、まだら模様になるのが特徴です。なお、前年の巣が再利用されることはなく、女王バチのみが越冬し、他の個体は冬前に死滅するとされています。
駆除費用については、自治体の補助制度を使うことで軽減できる場合もあります。例えば千葉県印西市では、市を通して指定業者に駆除を依頼した場合、駆除費の2分の1以内(上限5万円)を補助する制度があり、過去3年間の申込者の平均自己負担額は約13,092円とされています。ただし対象はスズメバチの巣のみで、駆除前に市への申し込みが必須とされており、駆除後の事後申請は補助対象外となる点に注意が必要です。
コガタスズメバチが好む営巣場所


コガタスズメバチはツバキやキンモクセイなどの常緑樹や車庫の屋根下といった、風雨をしのげる場所を好んで営巣するとされています。実際には、これ以外にも生垣や庭木の枝葉に隠れた場所、玄関先や洗濯物干し場付近の軒下、ベランダの天井や壁、窓枠周辺など、人の生活圏に近い場所で見つかるケースが多く報告されています。
特に生垣や庭木の枝葉に隠れた巣は、葉に紛れて発見が遅れやすいという特徴があります。初期段階のうちは巣そのものが小さく、遠目には気づきにくいため、庭木の剪定や洗濯物を干す際など、日常的に近づく場所ほど意識的にチェックしておくことが早期発見につながります。
他のスズメバチとの見分け方


「コガタ」という名前から小さいイメージを持たれがちですが、体長21〜27mmは、スズメバチの中でも中型に分類されるサイズです。市街地でよく見かけるキイロスズメバチ(体長17〜24mm程度)と体格が近く混同されやすいものの、キイロスズメバチの巣が直径50cmを超え群れの数も1000匹規模になりやすいのに対し、コガタスズメバチの巣はバレーボール程度、群れの規模も比較的小さい傾向があるとされています。
一方、日本最大種のオオスズメバチ(体長27〜40mm程度)と比べると、コガタスズメバチは一回り小柄で、巣も地上に露出した場所に作られることが多いという違いがあります(オオスズメバチは土中に営巣することが多いとされています)。正確な種類の判別は素人には難しいため、飛び方や巣の形だけで安易に「危険度が低い」と判断せず、種類を問わずむやみに近づかないことが基本です。



名前に「コガタ(小型)」とついていても、刺傷リスクが低いわけではありません。種類の判別より先に、まず近づかないことを優先しましょう。
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自力で駆除する場合の流れ・方法
自分でコガタスズメバチの巣を駆除するのは危険を伴うため、基本的には専門業者に依頼することをおすすめします。以下はあくまで参考情報であり、実行を推奨するものではありません。
巣がまだ数センチ程度で、女王バチ一匹しかいないごく初期の段階に限り、自分で対応するという選択肢もあります。ただし、コガタスズメバチかどうか種類の判断がつかない場合や、すでに複数のハチが出入りしている場合は、自力での駆除は避けるべきです。あくまで「ごく初期の小さな巣」に限った方法として、基本的な流れを押さえておきましょう。
- 服装を整える:長袖・長ズボン・帽子など肌の露出を抑えた白系の服装を用意し、殺虫スプレーは巣から数メートル離れた位置から噴射できるものを選ぶ
- 時間帯を選ぶ:ハチの活動が鈍る早朝や日没後の夜間を選び、周囲に人がいないことを確認してから作業に入る
- 巣を駆除・撤去する:巣全体に十分な時間スプレーを噴射し、ハチの動きが完全に止まったことを確認したうえで巣を取り除き、密閉した袋に入れて処分する
噴射後すぐに巣へ近づいたり、日中の明るい時間帯に作業したりすると、興奮したハチに反撃されるリスクが高まります。少しでも巣が大きい、あるいは種類の判別に自信が持てない場合は、無理をせず専門業者に任せるのが安全です。
自分での対策が難しい・改善しない場合は業者へ


初期の巣であっても、種類の判別や安全な駆除方法に自信が持てない場合は、無理をせず専門業者への相談を検討しましょう。特に庭木の高い位置や生垣の奥にある巣は、自己判断で近づかないことが大切です。専門業者であれば、種類の正確な判別から、防護服や専用機材を使った安全な駆除、再発を防ぐための処理まで、一連の対応をまとめて任せられるという利点があります。
- 庭木や車庫の軒下に、とっくり状の巣らしきものを見つけた
- コガタスズメバチかキイロスズメバチか、種類の判別に自信がない
- 生垣の奥や高所など、自分では手が届かない場所に巣がある
- 自分で対応してもハチの活動が収まらない
専門業者に依頼すれば、巣の種類の見極めから安全な駆除、再発防止のアドバイスまでまとめて任せられます。無料で見積もり・相談に対応している業者も多いため、初期の段階で見つけたら、早めに複数社へ相談して比較することをおすすめします。
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よくある質問
Q. コガタスズメバチの初期巣は、どんな形をしていますか?
A. 三鷹市の情報によると、初期の巣は逆さのとっくりのような形をしており、5月頃から作られ始めます。8月下旬までにはバレーボールほどの大きさの球形に成長するとされています。
Q. コガタスズメバチはどこに巣を作りやすいですか?
A. 三鷹市の情報では、常緑樹や車庫の屋根下といった風雨をしのげる場所が好まれるとされています。生垣や軒下、ベランダ、窓枠周辺など、人の生活圏に近い場所で見つかることも多くあります。
Q. キイロスズメバチとの違いはありますか?
A. 体格は近いものの、キイロスズメバチの巣が直径50cmを超え群れの数も1000匹規模になりやすいのに対し、コガタスズメバチの巣はバレーボール程度で群れの規模も比較的小さい傾向があります。ただし正確な判別は難しいため、むやみに近づかないことが基本です。
Q. 巣の駆除に使える補助金はありますか?
A. 自治体によっては駆除費用の一部を補助する制度があります。例えば印西市では駆除費の2分の1以内(上限5万円)が補助対象ですが、駆除前の申し込みが必須など条件が自治体ごとに異なるため、事前確認をおすすめします。
コガタスズメバチの巣は5月頃、逆さのとっくりのような形で作られ始め、初期段階のうちが最も安全に対処しやすいタイミングです。とはいえ初期段階でも刺激すれば刺傷被害は起こり得るため、無理に近づかず、生垣や軒下など身近な場所を意識的にチェックすることが早期発見につながります。放置すれば8月下旬までにバレーボールほどの大きさまで成長するため、自治体の補助制度も確認しながら、複数の業者を比較して安全に対応することをおすすめします。
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