軒下や庭木に丸い塊を見つけて、「もしかしてハチの巣では」とドキッとした経験はないでしょうか。ハチの巣は放置すればするほど規模が大きくなり、刺される危険性も高まります。この記事では、ハチ刺されによる被害の実態や、巣の駆除にあたって知っておきたい注意点、自治体の補助制度について、国や自治体が公表しているデータをもとに解説します。
- ハチ刺されによる死亡者数は年平均40名、多い年は70名を超えるとされている
- ある消防本部の統計では、救急搬送の約95%が6月〜10月に集中している
- 60歳以上の搬送者が全体の約66%を占め、高齢者ほど注意が必要
- 自治体によってはスズメバチの巣駆除費用の補助制度がある
ハチ刺されによる被害はどれくらい深刻なのか

「ハチに刺されても大したことはないだろう」と考える方もいるかもしれませんが、実際には毎年一定数の死亡事故が発生しています。厚生労働省科学研究として実施された「ハチによる刺症事故防止に関する研究」によれば、ハチ刺されによる死亡者数は年平均40名、多い年では70名を超えるとされています。これは同じく人が命を落とす自然災害・動物被害の中でも決して少ない数字ではありません。
また同研究では、ハチに関する相談件数が全国で年間3万件を超えていた年もあったことが示されており、刺症は一部の特殊なケースではなく、誰にでも起こりうる身近なリスクであることがうかがえます。スズメバチ類の被害ピークは8月から10月にかけてで、アシナガバチ類は7月中旬から8月中旬に多いとされ、秋口にかけてハチの活動が活発になる時期は、特に注意が必要な季節といえます。
編集部「今まで刺されたことがないから大丈夫」と思っていても、刺された回数が増えるほどアレルギー反応のリスクも高まるといわれています。油断は禁物です。
救急搬送データから見る、誰が・いつ刺されているのか


より詳しい実態を、地域の消防統計から見てみましょう。福島県郡山市消防本部が公表している「ハチ刺されによる救急統計」(2020年〜2024年、搬送人員307人)では、6月から10月の搬送人員が全体の95.4%を占め、特に9月が91人(29.6%)と最も多くなっています。夏から秋にかけての屋外活動が増える時期と、ハチの活動が活発になる時期が重なっていることが、このデータからも読み取れます。
年代別に見ると、70歳代が29.3%と最多で、60歳以上を合計すると全体の66.1%を占めています。また、刺された状況としては「草刈り・剪定・伐採」が41.7%と最も多く、庭仕事や屋外作業中の被害が目立ちます。傷病程度別では軽症が80.5%を占める一方、重症が1.0%、死亡が0.3%報告されており、決してゼロではない点に注意が必要です。
ハチの巣を見つけたときのポイント・注意点


自分で近づく・駆除するのは危険
庭木や軒下にハチの巣を見つけると、市販のスプレーで自分で駆除しようと考える方もいますが、これは非常に危険な行為です。スズメバチは巣を刺激されると集団で攻撃してくる習性があり、駆除中に複数箇所を刺されて重症化するケースも報告されています。前述の統計でも「草刈り・剪定・伐採」中の被害が最多だったように、気づかずに巣に近づいてしまう作業そのものにリスクがあることを念頭に置いておく必要があります。
巣が小さいうちに気づくことが被害を防ぐカギ
ハチの巣は春先に女王バチが一匹で作り始め、季節が進むにつれて働きバチが増え、巣も急速に大きくなっていきます。被害が集中する6月〜10月を迎える前、初夏の段階で巣の有無を確認しておくことで、規模が小さいうちに対処しやすくなります。軒下や換気口、庭木の茂みなど、ハチが好む場所を定期的にチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。
刺された直後の対応も知っておく
万が一刺されてしまった場合は、患部から離れ、慌てず冷静に対処することが大切です。めまいや息苦しさ、全身のじんましんなど普段と違う症状が出た場合は、アナフィラキシーショックの可能性もあるため、様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。前述の統計でも重症・死亡例が一定数報告されているとおり、「軽い刺し傷」と軽視しない姿勢が重要です。



「小さい巣だから自分でも大丈夫」と判断する前に、ハチの種類や巣の場所によっては非常に危険なケースもあることを知っておいてください。
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自治体の補助制度と、業者に依頼すべき理由
ハチの巣駆除の費用負担を軽減できる制度として、自治体独自の補助金を用意しているケースがあります。例えば埼玉県熊谷市では、スズメバチの巣を業者に依頼して駆除した場合、費用の一部(上限10,000円)を補助する制度があります。対象はスズメバチ類の巣に限られ、駆除前後の写真撮影や申請書類の提出が必要など条件も細かく決まっているため、利用を検討する場合は事前に自治体の窓口で確認しておくとよいでしょう。
補助制度の有無にかかわらず、ハチの巣駆除は自分で行うより専門業者に依頼する方が安全です。専門業者であれば防護服や専用機材を使い、ハチの種類や巣の場所に応じた適切な方法で駆除してくれます。巣を見つけたら、まずは近づかず、早めに業者へ相談することを心がけましょう。
- 軒下や庭木に、蜂が出入りしている丸い巣らしきものを見つけた
- スズメバチかアシナガバチか、自分では種類を判別できない
- 巣が手の届く高さにあり、自分で駆除できそうに感じてしまう
- 過去にハチに刺されたことがあり、アレルギー体質が心配
専門業者に依頼すれば、巣の種類や規模の見極めから、安全な駆除、再発防止のアドバイスまでまとめて任せられます。無料で見積もり・相談に対応している業者も多いため、巣を見つけたらまずは複数社に問い合わせて比較してみることをおすすめします。
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よくある質問
Q. ハチの巣を見つけたら、まず何をすればいいですか?
A. 巣に近づいたり刺激したりせず、まずは落ち着いて距離を取りましょう。ハチの種類や巣の場所によっては非常に危険なため、自分で駆除しようとせず、専門業者や自治体の窓口に相談することをおすすめします。
Q. ハチ刺されが多いのはいつ頃ですか?
A. 郡山市消防本部の統計では、救急搬送の95.4%が6月から10月に集中しており、特に9月が最も多くなっています。この時期は庭仕事や屋外作業の際に、特に注意が必要です。
Q. 刺されたあと、どんな症状が出たら病院に行くべきですか?
A. めまいや息苦しさ、全身のじんましんなど、刺された箇所以外にも症状が出た場合はアナフィラキシーショックの可能性があります。様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。
Q. ハチの巣駆除に使える補助金はありますか?
A. 自治体によっては、スズメバチの巣駆除費用の一部を補助する制度があります。例えば熊谷市では上限10,000円の補助がありますが、対象条件や申請方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体窓口で確認してください。
ハチ刺されによる死亡者数は年平均40名にのぼり、救急搬送の多くが6月〜10月に集中するなど、決して軽視できないリスクです。庭仕事や屋外作業の際は巣の有無に注意し、見つけても自分で駆除しようとせず、早めに専門業者や自治体の補助制度を活用することをおすすめします。複数の業者を比較して、安全かつ確実に駆除してくれる依頼先を選びましょう。
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