観葉植物の葉が白っぽくかすれてきた、庭木や家庭菜園の葉の裏に細かい虫がびっしり、葉のあいだにクモの巣のような糸が張っている。こうした症状の原因として多いのがハダニです。ハダニは体長約0.5mmと小さく、気づいたときには増えていることが少なくありません。この記事では、国や自治体の資料でわかるハダニの増え方、見つけたときの最初の対応、人を刺すダニとの違い、対策の方法、自分で対応する場合の流れ、業者に相談する目安までをまとめて解説します。
- ハダニは葉裏に寄生して汁を吸う植物の害虫。25℃では約10日で1世代、雌1頭が100〜150個の卵を産み、乾燥や高温で急に増える
- 対策は「早期発見」「葉裏までしっかり届く防除」「同じ薬剤を連続して使わない」が基本。散布の2〜3日後に効果を確認する
- ハダニは植物の汁を吸う虫で、人を刺すダニ(ツメダニなど)とは別。室内でかゆみが出る場合は、別の原因も疑う
- 庭木が大きい・高所・広範囲の場合は、園芸店・造園業者や専門業者への相談も検討する
ハダニとは?
対策を考える前に、ハダニがどんな虫で、どれくらいの速さで増えるのかを押さえておきましょう。数字を知っておくと、「なぜ放置すると手遅れになりやすいのか」がわかります。
特徴:葉裏に寄生し、汁を吸って葉をかすり状に白くする
野菜・花きで大きな被害を与えるのは、黄緑色のナミハダニと赤色のカンザワハダニで、どちらも寄主範囲が広く、雑草にも寄生すると、福島県の資料に整理されています。雌成虫は約0.5mmと小さく、主に葉裏に寄生して吸汁します。
吸汁を受けた葉の表側には、白っぽいかすり状の被害痕が現れることが多く、寄生数が増えると、葉が生気を失い、吐糸でクモの巣状に覆われて萎縮し、枯れることもあります。ナミハダニは非常に多くの植物から見つかっており、農林水産省の植物防疫所の調査でも、輸入された苗や球根、切り花など、さまざまな植物に付着していたことが報告されています。
増え方の数字:25℃で約10日、雌1頭が100〜150個の卵
- 1世代の期間:25℃で約10日(愛媛県の資料)。ナミハダニの卵から産卵までは27℃で約10.5日(福島県の資料)
- 産卵数:雌成虫1頭が100〜150個の卵を産む(愛媛県の資料)。100卵を超えるとされる(福島県の資料)
- 発育零点:ナミハダニで約9℃。加温した施設では冬も発生し、冬でも朱色の個体が見られる
- 増えやすい条件:乾燥条件で増えやすく、気温が上がると短期間で密度が高まる
- 薬剤抵抗性:発育期間が短く、年間の世代数が多いため、薬剤抵抗性が発達しやすい
たとえば、「10日で1世代、1頭が100個以上の卵を産む」という数字を見るだけでも、数が一気に増えることが想像できます。気づいたときには広がっている、というのはこのためです(編集部の読み取り)。
発生状況の例:寄生株率は平年を大きく上回る年も
農業現場では、ハダニの発生状況が毎年調査されています。たとえば愛媛県では、イチゴの1月の定点調査で寄生株率が5.5%と、前年同期の0.9%を大きく上回りました。9月上旬の巡回調査で寄生株率が4.7%(平年3.2%)、発生圃場率が48.5%(平年29.3%)と、いずれも平年より高かった長崎県の例もあります。気温が高く降水量が少ない見込みの年は、ハダニの発生に好適とされています。
令和7年度の発生予報(10月18日発表)では、カンキツのミカンハダニは「やや多」とされ、1葉あたりのハダニ成虫数が0.5〜1.0頭程度で薬剤防除を行うという目安が、三重県から示されています。
これらは農作物の調査であり、家庭の植物にそのまま当てはまるわけではありません。ただし、「暖かく乾燥した時期ほど増えやすい」という傾向は共通しています(編集部の読み取り)。
編集部ハダニは「少しだけいる段階」で対応できるかどうかが、その後の手間を大きく左右します。葉の色が薄くなってきたと感じたら、早めに葉裏を確認する習慣をつけておくと安心です(編集部の知見)。
ハダニを見つけたら、まず何をすればいい?


最初のポイントは、葉裏をよく観察して、本当にハダニかどうかを確かめることです。次のようなサインがないか確認しましょう。
- 葉の表:白っぽいかすり状の痕が点々と広がっている
- 葉裏:約0.5mmの小さな虫(黄緑色・赤色)が寄生している
- 密度が高いとき:葉や茎にクモの巣状の糸が張っている
- 周辺:雑草や、近くの別の植物にも広がっていないか
ハダニは、ほ場周辺の寄主植物で繁殖して侵入することがあるため、周辺の雑草を含めて除草することが防除の一つとされています。新しく買った苗や鉢植えからの持ち込みも多いため、新しい植物は少しのあいだ離して様子を見るのが安心です(編集部の目安)。





屋内外のご相談では、「ハダニだと思っていたら別の虫だった」「何度薬を使っても減らない」というケースもあります。薬剤は葉裏に届かないと効果が出にくいので、散布の仕方と、使ってきた薬剤の系統を見直すのがポイントです。
ハダニは人を刺す?「ダニ」との違い
「ダニ」と聞くと、かゆみや皮膚炎を心配される方も多いのですが、ハダニは人を刺す虫ではありません。ハダニ類は一生を植物上で過ごし、植物の汁を吸って暮らす虫で、農作物に大きな被害を与える種もある、と名古屋市の資料で説明されています。
一方、人に影響するダニとして挙げられているのは、屋内で大量発生すると、かゆみや皮膚炎の原因になるツメダニ類や、衛生害虫として重要なツツガムシ類などです。なお、ハダニが人を刺す、または人に影響するという記述は、この資料にはありません。
- ハダニ:植物の汁を吸う。被害は植物の葉のかすれ、変色、枯れ
- ツメダニ類:屋内で大量発生すると、人の皮膚を刺し、かゆみや皮膚炎の原因になる
- ツツガムシ類:幼虫が脊椎動物から吸血し、ツツガムシ病を媒介する種がある
室内でかゆみが出ていて、観葉植物のハダニと結びつけて考えている場合は、別のダニが原因の可能性もあります(編集部の知見)。かゆみが続く場合は、皮膚科などへの相談も検討してください。
ハダニの対策方法
ハダニ対策は、「持ち込まない・早く見つける・葉裏まで届く防除を行う・同じ薬剤を連続して使わない」の4つが柱です。まず、方法ごとの特徴を整理しましょう。
| 方法 | 内容 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 早期発見・観察 | 葉裏を定期的に確認する | すべての段階 | 発生初期の防除が基本 |
| 除草・持ち込み防止 | 周辺の雑草を除く、苗や前作からの持ち込みを防ぐ | 予防 | 雑草や苗にも寄生する |
| 葉の整理・混み合いの解消 | 下葉や混み合った葉を整理してから散布する | 薬剤を使う前 | 薬剤が葉裏に届きやすくなる |
| 殺ダニ剤(薬剤) | 葉裏に十分かかるよう丁寧に散布する | 発生が確認されたとき | 系統のローテーション。散布2〜3日後に効果を確認 |
| 天敵(カブリダニ類) | チリカブリダニ、ミヤコカブリダニなど | 施設栽培など | 薬剤の天敵への影響に注意 |
早期発見:発生初期に動く
ほ場をよく観察し、早期発見に努め、発生が見られたら早めに防除するのが基本とされています。カンキツでは、1葉あたり成虫0.5〜1.0頭程度という具体的な目安が、三重県の資料にあります。家庭の植物では、葉裏を定期的にのぞいて、かすれた葉を見つけたら早めに対応しましょう。
1葉当たりのハダニ成虫数が、0.5頭から1.0頭程度確認されたら、薬剤防除をしてください。
三重県「令和7年度病害虫発生予報第6号」(カンキツ)
持ち込み防止と除草
苗や前作からの持ち込みを防ぎ、周辺やほ場内の雑草を含めて除草を徹底することが、福島県の資料で挙げられています。本圃で多発すると防除が難しくなるため、定植前までに防除を徹底し、持ち込まないようにする、と長崎県の資料にも示されています。
葉の整理:薬剤が葉裏に届くようにする
株が混んでいると薬剤が届きにくいため、摘葉などをしてから丁寧に散布することが、福島県の資料に書かれています。薬剤が葉裏に十分かかるよう下葉を整理する、と愛媛県の資料でもされています。
殺ダニ剤:系統を変え、散布後に効果を確認する
発生初期に殺ダニ剤を散布し、散布の2〜3日後に効果を確認します。生存虫がいれば、別系統の薬剤を使います。同一系統の薬剤は、年1回の使用にとどめることが望ましいとされています。
薬剤は、必ず使用する植物に登録があるものを選び、ラベルの使用回数・収穫前日数などを守ることが大切です。
天敵:カブリダニ類の活用
施設栽培のイチゴでは、チリカブリダニやミヤコカブリダニの放飼が行われています。天敵を使う場合は、密度が低いうちに導入することが、三重県の資料でも推奨されています。天敵を使う場合は、薬剤によって天敵への影響が長く続くものがあるため、薬剤の選び方と使う時期に注意が必要です。
天敵の放飼は、主に農業の施設で行われる方法です。家庭の観葉植物や庭木でそのまま使えるかどうかは、今回の資料では確認できませんでした(編集部の注記)。



「水をかけると効く」「牛乳や重曹が効く」といった方法もよく紹介されますが、今回確認した国・自治体の資料には、効果を示す記載を見つけられませんでした。補助的な管理として行う場合は、葉裏までよく観察し、減らないときは薬剤などの対策を組み合わせましょう(編集部の知見)。
ハダニ対策を自分で行う場合の流れ
薬剤を使うときは、必ず製品のラベルにある使い方・使用回数・使用場所を守ってください。食用の植物には、収穫前日数の確認も必要です。以下は、一般的な流れの目安です。
- 葉裏を観察し、ハダニの有無と被害の広がりを確認する(周辺の植物や雑草も確認する)
- 被害のひどい葉や、混み合った下葉を整理する
- 登録のある殺ダニ剤を選び、葉裏に十分かかるよう丁寧に散布する
- 散布の2〜3日後に、生き残りがいないか確認する
- 生存虫がいる場合は、別系統の薬剤に切り替える(同一系統は連用しない)
- 周辺の雑草を除き、新しい苗は少し離して様子を見る
- 乾燥や高温が続く時期は、葉裏を定期的にチェックする
ハダニの数が多すぎる場合や、庭木が大きく薬剤が届かない場合は、そこで作業を止めて相談しましょう。
ハダニ対策の注意点とポイント
薬剤の選び方や使い方でつまずきやすい点を、ここでまとめて確認しましょう。
同じ薬剤を連用しない:薬剤抵抗性に注意
ナミハダニでは、ハウスによって薬剤感受性の低下が確認されています。ある薬剤の殺成虫試験で、一部のハウスで死亡率が0%、8.9%、3.5%にとどまった例が、愛媛県の資料に示されています。これは特定のハウスでの結果で、地域全体を表すものではありませんが、同一系統の連用を避け、系統をローテーションして散布することの大切さを示しています。
散布ムラにも注意:効かないのは薬剤のせいとは限らない
散布後にハダニ密度が下がらない事例について、薬剤効果の低下か散布ムラによるものかは不明、と岩手県の資料にあります。葉裏に確実にかかっているかも、見直すポイントです。
収穫前日数・使用回数・天敵への影響を確認する
散布前には、収穫前日数と使用回数を確認します。天敵を使っている場合は、薬剤によって影響が長く続くものがあることにも注意が必要です。
乾燥・高温の時期は特に注意する
乾燥条件で増えやすく、気温が上がると短期間で密度が高まるとされています。暖かく雨の少ない時期は、葉裏の観察の回数を増やしましょう(編集部の目安)。
自分での対応が難しい場合は専門家・業者へ


ハダニは植物の害虫のため、状況によっては、害虫駆除業者だけでなく、園芸店や造園業者、地域の病害虫の相談窓口が向いていることもあります。次のようなときは、相談先を検討しましょう。
- 庭木や生け垣が大きく、薬剤が葉裏まで届かない
- 高所や広範囲で、自分での作業が危険・困難
- 薬剤を使っても、数回の散布でも減らない
- 「ハダニ」と思っていたが、別の虫・ダニの可能性がある
- 室内でかゆみが出ていて、別のダニ類が疑われる
- 賃貸・マンションの共用部分の植栽で、自分の判断で動きにくい
害虫・害獣駆除サービスに関する相談は、全国の消費生活センターで年々増えています。相談件数は2018年度の854件から、2023年度には2,290件と約2.7倍になり、契約をめぐるトラブルも目立ちます(この数字はハダニに限らない、駆除サービス全般のものです)。
とくに気をつけたいのが料金のトラブルです。広告では「約500円〜」とされていたのに、作業後に約20万円を請求された、「約1,000円から」の広告が最終的に約50万円になったという事例も紹介されています。極端な格安料金をうたう広告には注意し、複数社から見積もりを取る・不安をあおる営業には応じない・納得できないときはその場で支払わないことが大切です。



業者に相談するときは、「対象の虫の特定をしてくれるか」「散布する薬剤と回数を説明してくれるか」「再発した場合の対応が決まっているか」の3点を確認しましょう(編集部の知見)。
ハダニ対策に関するよくある質問
ハダニは人を刺しますか?
ハダニは植物の汁を吸う虫で、人を刺す虫ではありません。人に影響するダニとして挙げられているのは、ツメダニ類やツツガムシ類などです。室内でかゆみが続く場合は、別の原因も考えられます。
ハダニはどのくらいの速さで増えますか?
25℃では約10日で1世代を経過し、雌成虫1頭が100〜150個の卵を産むとされています。乾燥条件や気温が高い時期は、特に短期間で増えやすくなります。
同じ薬剤を続けて使ってもいいですか?
おすすめしません。発育期間が短く世代数が多いため、薬剤抵抗性が発達しやすいとされています。同一系統の連用を避け、系統をローテーションし、散布の2〜3日後に効果を確認しましょう。
水をかけたり、牛乳や重曹を使ったりしても効果はありますか?
今回確認した国・自治体の資料には、効果を示す記載がありませんでした。葉裏の観察や、薬剤の丁寧な散布など、資料で示されている対策を中心にしてください。
業者に頼むと、費用はどのくらいかかりますか?
植物の大きさ、本数、作業の範囲、薬剤の種類などで大きく変わるため、一律の金額はいえません。極端に安い広告には注意し、複数社から見積もりを取って内訳を比べてください。
- ハダニは葉裏に寄生して汁を吸う虫。25℃で約10日で1世代、雌1頭が100〜150個の卵を産み、乾燥や高温で急に増える
- 対策の基本は、早期発見、持ち込み防止と除草、葉裏に届く散布、同一系統の連用を避けること。散布の2〜3日後に効果を確認する
- ハダニは人を刺さない。室内のかゆみは、ツメダニなど別のダニの可能性もある
- 大きな庭木・高所・広範囲の場合は、園芸店・造園業者や専門業者にも相談する










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