「天井裏にネズミが出たので、とりあえず蚊取り線香を焚いてみた」——そんな話を聞いたことがある方もいるかもしれません。煙や匂いで虫を寄せ付けない蚊取り線香なら、ネズミにも効きそうな気がしてしまいますよね。しかし結論から言うと、この記事では、国や自治体の資料をもとに、蚊取り線香とネズミ対策の関係、そして使う場合の火災リスク、本当に効果のある対策方法までを解説します。
- 国民生活センターのテストでは、蚊取り線香の火皿部分が通常使用でも約60℃、条件によっては300℃近くまで達するとされている
- 宇都宮市消防局は、蚊取り線香を「微小火源」と位置づけ、無人の部屋での使用を避けるよう注意喚起している
- 厚生労働省が示すねずみ防除の基本は、環境的対策・物理的対策・化学的対策(専用の殺そ剤・忌避剤)の組み合わせ
- 自己流の対策で改善しない場合は、無理をせず専門業者への相談が確実
「蚊取り線香でネズミを追い払える」と言われる理由

蚊取り線香は、除虫菊由来またはピレスロイド系の成分を燃焼させることで煙を発生させ、蚊などの昆虫を寄せ付けにくくする製品です。この「煙や匂いで生き物を遠ざける」という仕組みのイメージから、ネズミにも応用できるのではないかと考える方がいるようです。実際、インターネット上には体験談ベースの情報が多く見られますが、行政機関や研究機関が、蚊取り線香のネズミへの忌避効果を検証・公表している資料は見当たりません。
自治体の資料が示す「忌避剤」の位置づけ
東京都保健医療局が公開している「都民のためのねずみ防除読本」では、ねずみの防除方法を環境的対策・物理的対策・化学的対策の3つに整理しており、化学的対策については「殺そ剤や忌避剤といった薬剤を使用する方法」と説明されています。ここで言う忌避剤とは、あくまでネズミの防除を目的として承認・製造された薬剤を指しており、蚊などの昆虫用に作られた蚊取り線香とは、対象とする生物も成分の設計思想も異なります。
つまり、蚊取り線香を焚くこと自体が「行政が案内する忌避剤対策」に該当するわけではない、ということです。もし忌避剤を使うのであれば、ネズミ用として販売されている製品を選ぶほうが、効果・安全性の両面で理にかなっています。
編集部「家にあるもので何とかしたい」という気持ちはよく分かりますが、対象が違う製品を使うと、効果が出ないだけでなく、思わぬリスクを招くこともあります。次の章で詳しく説明します。
蚊取り線香をネズミ対策に使う際の火災リスク


ネズミ対策として蚊取り線香を使う場合、見落とされがちなのが火災リスクです。国民生活センターが実施したテストでは、携帯用蚊取り線香入れの表面温度について、通常の使用でも約60℃、二つの火口に同時に火をつけた場合は76〜92℃、燃え落ちた灰の直後の温度は約300℃に達したと報告されています。
| 状態 | 表面温度の目安 |
|---|---|
| 通常使用時 | 約60℃ |
| 二重に火をつけた場合 | 76〜92℃ |
| 燃え落ちた灰(直後) | 約300℃ |
さらに宇都宮市消防局の案内では、蚊取り線香は炎を出さずにくすぶり続ける「微小火源」にあたり、小さな火種であっても周囲の可燃物に燃え移ると大きな火災に発展するおそれがあるとして、無人の部屋での使用は避けるよう注意喚起されています。ネズミの被害がある場所は、天井裏や壁の中、物置など、まさに紙くずや布、断熱材といった巣材=可燃物が集まりやすい場所です。人の目が届かない場所に長時間置きっぱなしにしやすいという点でも、蚊取り線香をネズミ対策目的で使うことは推奨できません。
本当に効果のあるねずみ対策
では、実際にはどのような対策が効果的なのでしょうか。厚生労働省が公表している防除の手引きでは、ねずみ対策を環境的対策・物理的対策・化学的対策の3つに整理し、これらを組み合わせる「IPM(総合的有害生物管理)」という考え方が示されています。
| 対策の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 環境的対策 | 食品の密閉保管、生ごみの管理、巣材になる紙・布類の整理、清掃の徹底 |
| 物理的対策 | すき間をふさぐ防鼠工事、粘着式・圧殺式・生け捕り式のトラップの設置 |
| 化学的対策 | 抗凝血性殺鼠剤などをネズミ専用の毒餌箱に配置し、定期的に点検・補充する |
蚊取り線香のような代用品に頼るよりも、まずはこの3つの対策を正しい方法で実践するほうが、結果的に早く・安全に被害を減らせます。特に環境的対策は今日からでも始められるため、次の章のチェックポイントを参考に取り組んでみてください。
今日からできる環境対策のポイント
- 食材・調味料はふた付き容器や扉付きの戸棚、冷蔵庫にしまう
- 生ごみはその日のうちに処理し、ふた付きのごみ容器で保管する
- 段ボールや古紙、布類など巣材になりやすいものを整理・処分する
- 通気口・配管まわりなど1.5cm程度以上のすき間を金網やパテでふさぐ
これらの対策を続けても被害が収まらない場合、天井裏や壁の中などにすでに巣ができている可能性があります。その場合は、市販の代用品を試すよりも、次の章で紹介する専門業者への相談を検討したほうが安全です。
自分での対策が難しい・改善しない場合は業者へ


環境対策や市販グッズを試しても被害が収まらない場合、天井裏や壁の中など、自分では手が届かない場所にすでに巣ができている可能性があります。次のようなケースでは、専門業者への相談を検討しましょう。
- 蚊取り線香や忌避剤などの代用品を試しても被害が収まらない
- 天井裏や壁の中など、自分では確認できない場所に気配がある
- 糞や足跡、かじり跡が複数箇所・広範囲に見つかる
- 侵入経路が特定できない、またはすき間が多く自分でふさぎきれない
専門業者であれば、天井裏や床下も含めた家全体の調査、侵入経路の特定・封鎖、専用の薬剤・トラップによる駆除、駆除後の消毒・清掃までまとめて対応してもらえます。1社だけで即決せず、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。
※料金・対応エリア・対応スピードなどを比較できます
よくある質問
Q. 蚊取り線香はネズミに全く効果がないのですか?
A. 蚊取り線香は蚊など昆虫を対象に作られた製品で、行政機関や研究機関がネズミへの忌避効果を検証・公表している資料は見当たりませんでした。体験談レベルの情報はあるものの、公的な裏付けはない状態です。対策として使うのであれば、ネズミ用に販売されている忌避剤を選ぶほうが確実です。
Q. どうしても蚊取り線香を使いたい場合、注意すべき点はありますか?
A. 国民生活センターのテストでは、蚊取り線香の表面温度が条件によって300℃近くまで達するとされています。また宇都宮市消防局は「微小火源」として無人の部屋での使用を避けるよう注意喚起しています。天井裏や物置など、紙や布などの可燃物が多く人の目が届きにくい場所での使用は特に避けるべきです。
Q. ネズミ用の忌避剤なら効果はありますか?
A. 東京都の資料では、忌避剤は化学的対策の一つとして位置づけられています。ただし忌避剤単体で完全な駆除ができるわけではなく、環境的対策・物理的対策とあわせて使うことが基本とされています。
Q. 蚊取り線香を試して効果がなかった場合、次に何をすればいいですか?
A. まずは食品の密閉保管や侵入経路のすき間をふさぐといった環境的対策を見直しましょう。そのうえで、ネズミ専用のトラップや薬剤を正しい場所・方法で使用し、それでも改善しない場合は専門業者への相談を検討してください。
蚊取り線香には、ネズミへの効果を裏付ける公的なデータはなく、むしろ火災リスクの観点から注意が必要な製品です。国が示す正しいねずみ対策は、環境的対策・物理的対策・化学的対策を組み合わせるIPMの考え方です。代用品に頼らず、正しい方法で対策を行い、それでも改善しない場合は無理をせず専門業者への相談を検討してください。
※料金・対応エリア・対応スピードなどを比較できます










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